体が動けるうちはどんどん働こう、運動習慣を身につけ体力を維持しよう
J‐CASTニュースBiz編集部は、ニッセイ基礎研究所の坊美生子さんに話を聞いた。
――今回の「財政検証」で初めて個人の将来の年金受給額見通しが示されたわけですが、女性の生き方にとって、ズバリ一番注目すべて点は何でしょうか。
坊美生子さん ズバリ、女性個人の老後の年金見通しが、初めて示されたことです。これまでは、「モデル世帯」と称して、夫婦の年金見通ししか示されていなかったのですが、初めて、男女別に、個人単位の年金見通しが示されたことで、将来の年金に大きな男女格差があることが、明らかになりました。また女性については、シングルだと、貧困リスクが高い人が多いことが、具体的な生々しい数字で示されました。
私も正直、これほどひどいのかと驚いています。厚生労働省では「将来的には、女性の低年金は解消していく」と説明していますが、一番年金水準が高くなる現在20歳の女性でも、約4万円の男女格差が残る上、4割弱の方は年金が月10万円未満です。「解消」と言えるレベルでは、到底ありません。
女性たちは改めて将来の自分の年金受給額を見据えて、現在の暮らし方、働き方を意識的に変えていくことが大事だと思います。
特に、老後の年金が月10万円未満の割合が、50歳の女性で6割弱、40歳女性で5割強という数字は深刻です。配偶者など家族による収入がなく、自身にも年金以外の収入がなければ、相対的な貧困状態に陥ってしまいます。その年代の多くの女性にとって他人事ではなく、いまから備えておく必要があります。
――改めて年金受給額の低さが浮き彫りになった40代~50代の女性はどうすればよいでしょうか。
坊美生子さん 年金に不安がある人は、長く、しっかり働くことが大事です。体が動けるうちはどんどん働いたほうが、家計の助けになるだけではなく、介護予防にもつながります。なるべく長く働き続けるためには、今のうちから運動習慣を身につけて、体力を維持することが大切です。
年金受給額は現役時代の賃金水準と、厚生年金の保険料の支払い期間で決まります。「しっかり働く」ということは、できるだけ収入のアップを図るということです。
フルタイムの正社員か、パートでも、厚生年金に加入できる働き方をしたほうが、加入期間が延び、老後の年金の底上げにつながります。また、何歳からでも、新しい仕事にチャレンジしたり、仕事のスキルを磨いたりして、キャリアアップを図りましょう。
より収入を上げるためには、職場でもより難易度の高い仕事、責任の重い立場にチャレンジして、管理職を目指すことも選択肢から外さないでください。現在の職場では賃金アップが見込めないという方は、転職も視野に入れましょう。