稀代の風刺似顔絵画家、山藤章二さんはシャイな毒舌家

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「絵のうまい人は文章がうまい、文章がうまい人は絵もうまい」

   また、朝日新聞のニュースを飾る似顔絵が山藤作品だった時代もあった。この似顔絵にはさすがに毒は盛れない。

   作品だけを見ると怖そうな人だが、物腰の優しいジェントルマンだった。週刊朝日の編集部には毎週現れ、細かく打ち合わせをする。絵もうまいが、文章も達人だった。

   やはり画家で文章も書いた安野光雅さんと食事をしながら「絵のうまい人は文章がうまい、文章がうまい人は絵もうまい」と頷き合っていた。

   大声を出すことはなく、一見シャイに見える人だったが、テレビに出演するのが嫌いではなかった。様々な催しに出演した。

   30代のころ、その穏やかな人が色をなして反論したことがあった。雑談しているとき、墨を使って漫画を描く漫画家の絵と似ていると軽く話したのだが、あんなのとは全く違う、全然違うと不機嫌になった。ユニークであることに強く拘る人でもあった。

   息子さんの結婚披露宴に芸能界、マスコミなどから多くの知名人を招いた。「こういうことはみっともないが、親ばかで勘弁してください」と恥ずかしそうに頭を下げて回っていた。

   2021年に連載を終え、外へ出ることなく、夫婦で静かに過ごしていた。

(J-CASTニュース発行人 蜷川真夫)

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