阿部慎之助監督はなぜ就任1年目で優勝できたのか? 元コーチが指摘...原辰徳監督との一番の違いは

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    プロ野球巨人が2024年9月28日、マツダスタジアムで広島と対戦し8-1で勝利し、4年ぶり39回目のリーグ優勝を果たした。

    巨人は昨シーズンまで2年連続で4位に終わり、昨オフに原辰徳監督(66)に代わって阿部慎之助氏(45)が監督に就任。今シーズンは安定した投手力を武器に優勝争いを繰り広げ、昨シーズン優勝の阪神を振り切ってリーグを制した。

  • 巨人の本拠地・東京ドーム
    巨人の本拠地・東京ドーム
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「阿部監督は攻撃力よりも守備力。点を取ることよりも、点を与えない」

    阿部監督就任1年目にしてのリーグ優勝。阿部監督はチームをどのように変えたのか。原監督との相違はどこに? J-CASTニュース編集部は、巨人のコーチ時代に阿部監督とともに戦った経験を持つ、オイシックス新潟アルビレックスBC監督の橋上秀樹氏(58)に話を聞いた。

    橋上氏は今シーズンの巨人の戦いぶりを振り返り、「優勝の要因は明らかに投手力」という。続けて、「チーム防御率は昨シーズンと比べてもだいぶよくなっている。チームを立て直すには、投手を含め守りに重点を置くと、比較的短期間のうちにチーム力を改善しやすくなる」と解説した。

    昨シーズンのチーム防御率(3.39)はリーグ5位で、507失点はリーグ4位だった。これに対して今シーズンのチーム防御率は、リーグトップの2.49で、379失点はリーグ最少だ。

    このように投手力が上がった背景に、捕手出身監督ならではの考え方があると指摘した。

    「キャッチャー出身の監督だけあって、オフェンスよりもディフェンスのほうからしっかりとチーム構成を考えている感じはある。打つことよりも、いかにして失点を防ぐかというところから野球を考えていると思います。そのあたりが、大城(卓三)選手以外のキャッチャーを起用したことに反映している。大城選手を起用すれば明らかに攻撃力は上がるということで、昨シーズンまでは大城選手が起用されていたと思うが、阿部監督は攻撃力よりも守備力。点を取ることよりも、点を与えない。これはキャッチャーの思考でしょう」

    そして、こう続けた。

    「巨人は守備力が高い。バッテリーを中心にしてしっかり守る。失点をいかに減らすか。マネジメントの基本は、点を取るスポーツと考えるのか、失点を防ぐスポーツと考えるかというところで大きく変わってくる。キャッチャーはどちらかといえば、失点を防ぐというほうに目がいきやすい。私の経験から、そちらの考え方のほうが安定した戦いができる可能性が高い」

    橋上氏は、シーズン中の阿部監督のコメントに注目した。なかでも、投手に対するコメントに「配慮」を感じたという。

「ピッチャーに過度の重圧を与えないような言い回しを」

    「ピッチャーを萎縮させないようなコメントが非常に目につきました。キャッチャー出身の監督だけに、言葉ひとつでピッチャーにかかる精神的負担などが大きく左右するということを理解しているのでしょう。監督になって、その言葉がさらに重みを増している。それもあって、ピッチャーに過度の重圧を与えないような言い回しをしている。たとえ打たれても配慮する言い回しをしている」

    阿部監督の投手への「配慮」は、マウンド上の投手に反映されているという。これが昨シーズンと今シーズンの相違だと指摘する。

    「昨シーズンは、フォアボールを出したり、カウントが悪くなると、ベンチをちらちら見るピッチャーがいたが、今シーズンはそれが大きく減ったと思います。前任の原監督は厳しさの中で、チーム内で競争をさせ、よい緊張感を持たせるマネジメントをしていた。阿部監督は緊張感を持たせながらも、過度に緊張感を持たせないようにしているようにみえる。ピッチャーのプレッシャーが軽減されたことによって、それぞれ持っているものを発揮できやすい環境になったと思います」

    就任1年目で結果を残した阿部監督。橋上氏は、今シーズンのような強さは今後、数年続くと予想し、次のように解説した。

    「巨人は2年連続でBクラスのチームでした。外国人選手は何人か入れ替わりましたが、ほぼ現有戦力の底上げで優勝できた。チームとして大きな躍進だったと思います。ピッチャーが安定しているので、当分安定した戦いができると思います。この先数年間、大きな故障者が続出しない限りは、Bクラスになるということは考えにくい」

    10月2日のDeNA戦が今シーズン最終戦となる巨人。16日から本拠地・東京ドームでクライマックスシリーズ(CS)ファイナルステージが開幕する。

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