活況を呈するミドルシニアの「転職」 「なりたい自分」に近づくため必要なことは/リクルートエージェント キャリアドバイザー・大石真弓さん

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   転職市場が活況だ。

   リクルートの「転職市場動向レポート」(2024年度上半期)によると、近年、キャリア採用が活発化。従来は20~30代を中心に採用してきた業界や企業が、40代~50代以上のミドルシニアを採用する事例が増えているという。

   とはいえ、この世代にとって転職はまだまだ高いハードル。勇気が湧かずに足踏みしている人も少なくない。そんな時、企業と求職者をつなぎ、転職のサポートをしてくれる転職エージェントの存在は心強いだろう。リクルートエージェントのキャリアアドバイザー・大石真弓さんに、最近の転職事情や転職エージェントの活用法を聞いた。

  • リクルートエージェント キャリアアドバイザー・大石真弓さん
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確固たる経験やポータブルスキルが強みに

――まず、近年、活発化している転職市場の特長をお聞かせください。

大石真弓さん これまでは年収を上げたい、大きな会社に行きたいなど、わかりやすい理由での転職が一般的でした。 最近はそういった理由のほかにも、コロナ禍の影響からか、実りある人生を送るにはどうすべきかといった視点で、新たな仕事を求める人が増えているように思います。 若手からミドル、シニアまで年代に関係なく働き方が多様になり、仕事に対する価値観が変わってきたからでしょう。

――こうした価値観の変化を企業側はどう受け止めているのでしょうか。

大石真弓さん 企業側も変わろうとしているように感じます。たとえば、従来は求職者が残業時間をダイレクトに質問するのはあまり好ましくないとされてきましたが、今は逆に多くの企業が積極的に情報を開示していて、多様な働き方を認めようとしています。社員がやりがいを持って力を発揮するにはどうすべきかといった視点に立ち、制度を整える企業が増えているのではないでしょうか。

――ミドルシニア世代の転職も増えている?

大石真弓さん ミドルシニア世代は求められていて、実際に私がご支援した転職者も増えています。かつて転職市場には「35歳の壁」があり、「転職するなら35歳までに」と言われたものですが、それはすでに変わってきていると感じます。

――転職に年齢は関係ない、と?

大石真弓さん もちろん若手には幅広く挑戦できる魅力があり、ミドルシニア世代には確固たる経験があります。専門スキルやポータブルスキル(職種の専門性以外に、業種や職種が変わっても持ち運びができる職務遂行上のスキル)があります。懐の深さ、人生の豊かさといった魅力はなにものにも代えがたいものです。
また、これまでの経験やスキルを詳細に伝えれば、次の会社ではどんな即戦力になり得るかをリアルに見せることができます。ミドルシニア世代の場合、活躍イメージが持てれば安心して採用できるのだと思います。

――ミドルシニア世代には、どういう人材が求められているのでしょうか。

大石真弓さん 専門スキルやマネージメントスキルに長けている方、また、ポータブルスキルも強みになります。
社会人経験が長いミドルシニア世代は、一社における就業経験も長く、企業の創業期や拡大期といったビジネスフェーズに関わった経験のある方も少なくありません。そうした機会にどう関わり、どう取り組んだかはとても重要。そこで培ったスキルは大きな強みです。

――ミドルシニア世代は何を求めて転職を考える方が多いのでしょうか。

大石真弓さん 実は最近、これまでしっかりと仕事に取り組みキャリアを積んでこられた方に多いと感じているのが、「自分には何かが足りない」「もっと何かあればいいのに」といった悩みです。
自分の強みを考える以前に、「何かが足りない」と感じてしまうのはなぜなのか、何が足りないのかを知りたい――。そういう方が増えている気がします。

――そういう方にはどうアプローチされるのですか?

大石真弓さん 「もっと何かある」と思った理由を深掘りしていきます。でも、私はまず、そう思ったこと自体が素晴らしいことだとお伝えします。ある意味、立ち止まる余裕ができ、「こうありたい姿」「もっと楽しいこと」に気づくチャンスが訪れたということだからです。
キャリアもあって、年収にもあまり不満はない。それでも「何かが足りない」と気づき、変わりたい、成長したいと思うわけですから、その前向きな姿勢が素晴らしいと思うのです。
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