自民党の新総裁に石破茂元幹事長(67)が選ばれ、次期首相になる見通しになると、一転して円高が急速に進み、日経平均の先物取引は大幅に値下がりした。
石破氏の地元などでは、祝福ムードも広がっているが、Xのトレンドでは、ネガティブな言葉が次々に上位に入っている。「石破ショック」とも呼ばれる現象は、なぜ起きているのだろうか。
法人税増税などをほのめかし、緊縮財政の懸念広がる
2024年9月27日に投開票された総裁選では、石破氏と高市早苗経済安全保障相(63)が決選投票に残り、この時点では、円安が進行し、日経平均株価は値上がりして4万円近い終値をつけた。
高市氏が党員・議員票でともに最多となり、一時は「日本初の女性総理」への期待が高まってトレンド入りした。報道によると、円安・株高については、高市氏が日銀の追加利上げに否定的であることなどが原因とみられた。
ところが、決選投票が行われ、開票結果が出ると、石破氏が僅差で総裁に選ばれ、ネット上などでは、驚く声が広がった。
それと同時に、今度は一転して1ドル当たり3円ほども円高が進み、143円台になった。また、日経平均の先物取引も急落して、2000円ほども下がって3万7000円台になった。
新首相誕生のご祝儀相場とは異なる状況に、識者らからは「石破ショック」とも呼ばれる事態になっている。経済の先行きなどに懸念が広がって、X上では、「石破かよ」「日本終わった」「株価暴落」といった新総裁に否定的な言葉が、トレンドにずらりと並んだ。
こうした石破ショックが広がった背景には、石破氏が総裁選に当たって、金融所得への課税強化や法人税の増税をほのめかしたことから、景気を冷え込ませる緊縮財政になるのではないかとの憶測が流れたことがある。また、石破氏が日銀の独立性を尊重するなどとし、財政規律を重んじていることから、追加利上げに進むのではないかとの見方も出ていた。