企業が次期総理に求める経済政策 「岸田政権下で大企業ばかり恩恵」と中小企業が怒る「後始末」こそ最重要【自民党総裁選】

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中小企業には「デジタル化」「イノベーション」より、目の前の危機対策が急務

――しかし、デジタル化を進めないと、中小企業もピンチですよね。

調査担当者 中小企業はとにかく事業を継続するために、目の前の問題解決に重きを置く企業が多いです。だから、何としても「中小企業向け支援策の拡充」を求める企業が多いと推測できます。

逆に「デジタル化の推進」や「科学技術・イノベーション推進」は経済全体および自社への効果が出るまでに時間がかかります。間接的な効果をもたらすことが多い施策と考えるため、優先順位が大企業と比べて低い結果になったと考えられます。

――それほど中小企業は、切羽詰まった状況に追い込まれているわけですね。現在、自民党総裁選で9人の候補の論戦が行われていますが、こうした企業側が求める経済政策が活発に論議されていると思いますか。

調査担当者 最も求められている「中小企業支援」については、取り組む意向を持つ候補者が複数いたほか、2番目に高い「物価高対策」も多くの候補者が言及していますので、政策が活発に議論されていると思います。

しかし、3番目に高い「個人消費の拡大」は、消費を直接的に促す政策ではなく、賃上げや投資促進を通じて消費を拡大させていくことが議論されています。どちらかといえば、中長期的な効果をもたらし、間接的に消費につながっていく政策が重視されている点が、中小企業が希望している政策との間に乖離があるように感じます。

4番目に高い「個人向け減税」も、財政健全化をより重視する傾向にあり、議論はされていない状況になっているようです。

――う~む。もっと議論を煮詰めてほしいですね。今回の調査で特に強調しておきたいことや、次期政権に望むことはありますか。

調査担当者 企業が新政権に求める経済政策について、「中小企業支援」が5割近くで、最も高くなっています。裾野が広く日本経済を支える中小企業への支援が重要と多くの企業経営者が考えているようです。

長らく実質賃金がマイナスで推移してきたことで、消費者の節約志向も続いています。個人消費がより活発に、消費マインドが回復していくことが重要になってくるでしょう。

人手不足対策、半導体、DXやAI、グリーンエネルギーといった技術革新を促すさらなる後押しも必要です。新政権には、物価と賃金がともに上昇する経済の好循環を実現できる環境を早く整備して、生産性と競争力を高める施策が求められます。

(J‐CASTニュースBiz編集部 福田和郎)

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