任天堂(京都市南区)は、ポケモン(東京都港区)と共同で、ゲーム「Palworld(パルワールド)」を開発・販売するポケットペア(東京都品川区)に対し、特許権の侵害訴訟を東京地方裁判所に起こした。2024年9月19日に公式サイトで発表した。SNSではこれをうけ、ポケットペア代表取締役社長の溝部拓郎氏のX投稿が注目を集めている。
ポケットペア主張「自由な発想を妨げられ萎縮することがないよう」
パルワールドは、1月19日に発売されたオープンワールドゲーム。約1か月で総プレイヤー数が2500 万人を突破するなど、大ヒットを記録した。一方、「パル」という登場キャラクターのデザインや、「スフィア」と呼ばれるアイテムを投げてパルを捕獲し、捕獲したパルは一緒に戦わせることができるというシステムが、ポケモンと似ているとする指摘の声が上がっていた。
任天堂は発表で「『Palworld / パルワールド』が複数の特許権を侵害しているとして、侵害行為の差止及び損害賠償を求めるものです」と訴訟の内容を説明。「当社は、長年の努力により築き上げてきた当社の大切な知的財産を保護するために、当社のブランドを含む知的財産の侵害行為に対しては、今後も継続して必要な措置を講じていく所存です」とコメントした。
ポケットペアは任天堂の発表を受け、「当社は訴状を受領しておらず、先方の主張や侵害したとする特許権の内容等について確認できておりません」と発表。パルワールドの運営や提供の中断・変更の予定はないとした。
そのうえで、「今回の訴訟により、ゲーム開発以外の問題に多くの時間を割かざるを得ない可能性がある状況は非常に残念ですが、ファンの皆様のため、そしてインディーゲーム開発者が自由な発想を妨げられ萎縮することがないよう、最善を尽くしてまいります」と主張している。
「任天堂ゲームセミナー」でゲーム開発も
提訴の発表を受けて注目を集めたのは、溝部氏の21年12月15日の投稿だ。生成AIが作ったというモンスターのイラストと、実際のポケモンのキャラクターのイラストとを並べ、「AIが進化し過ぎてて、どっちがポケモンかもう分からない。。。」と書き込んだ。
これに、「代表がこんなツイートしちゃってるもんなぁ」「AI反対派でもなければ任天堂信者でもないんやけど、こういうの見るとやっぱりなと思ってしまう」「ポケモンへのリスペクトもクソもないな」といった批判の声が寄せられた。
一方で、溝部氏は任天堂への敬意を示す発言もしている。溝部氏は学生を対象としたセミナー「任天堂ゲームセミナー」でゲーム開発に携わっていた経歴を持つ。23年7月25日には、ほかのユーザーへの返信として「私も任天堂の岩田さんが大学へ講演しに来てくれたから、今ゲーム作ってる気がします!」とコメントしている。
AIが進化し過ぎてて、どっちがポケモンかもう分からない。。。
— Takuro Mizobe | Palworld (@urokuta_ja) December 15, 2021
←左 AIが生成したポケモン風モンスター
→右 本物のポケモン(イルミーゼ、ミノマダム、ハリーセン、カリキリ) pic.twitter.com/PL6ikWhlFU