高齢女性の大切な貴金属を盗み去る 「貧しい国へ寄付」優しさ付け込み訪問「悪徳業者」の防ぎ方

業者を家の中に入れては、絶対ダメ

――高齢女性の親切心に付け込むとは、極めて悪質ですね。国民生活センターでは、2023年9月にも「訪問購入」の被害を報告するリポートを出していますが、その時は貴金属を安く買い叩くくらいで、貴金属を盗み去る犯罪的な事例はなかったです。なぜさらに悪質になったのでしょうか。

加藤良太さん 貴金属を盗む犯罪的なケースは、相談件数が増えたために浮上してきた事例で、前回もあったと思います。いずれにしろ、最初から悪徳業者の狙いは高くなった金製品を手に入れることです。

高齢女性を狙うのは、男性と違ってアクセサリー類を多く持っていること、そして終活のために家の中を整理して、衣類や贈答品など引き取ってもらいたがっている人が多いためです。

――悪徳業者の被害に遭わないようにするには、何が一番大切ですか。

加藤良太さん 一人暮らしの高齢女性では難しいかもしれませんが、まず突然訪問して来た業者は絶対に家の中に入れないこと。話を聞く場合でも、チェーンロックをかけて玄関のドアを開けないこと。ひとたび家に入れると、巧みな話術と脅迫で貴金属を見せる羽目になるし、ちょっと目を離したすきに盗まれてしまいます。

そして、貴金属を買い取ってもらうつもりがない場合は、求められても見せないこと。また、見せる際は業者から目を離さないことです。何より大事なことは、1人で対応せずに近所の知り合いや、家族に立ち会ってもらうことです。

――高齢女性と離れて暮らしている家族の立場では、どうやって被害を防げばいいでしょうか。

加藤良太さん 日頃からのコミュニケーションを大切して、何でも気軽に話せる関係になってください。

じつは、消費者ホットラインに相談する被害者の中には、「子どもに知られると、叱られる」と、トラブルを自分だけで抱え込んで悩む人が多いのです。

事前にお子さんが不要品買い取り業者の相談に乗ってあげていれば、被害に遭うこともなかったでしょう。ぜひ、連絡を密にしてほしいと思います。

(J‐CASTニュースBiz編集部 福田和郎)

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