SNSから人との交流、人生を学ぶ人も増えている
――自己実現や人生観といった精神的なものまで絡んでくるとなると、相当の強い必需性になりますね。
最後に「情報欲求」の高さ、低さに応じて必需性を聞いていますが、「情報欲求」も現在の若者の空気や水にあたるということでしょうか。
小島誠也さん 「情報」が若者の空気や水にあたるかとまでは言えません。【図表3】と【図表4】では、年齢によらず情報欲求が高いことが、SNSの必需意識を高めていることを示しています。
「一般に他人が知っていて、自分が知らないことがあると恥ずかしい」を「情報欲求」と定義して聞いていますので、逆に言えば、知らないことを知らない、と率直に受け入れる人は、そうでない人に比べ、SNSの必需意識が低くなっている、とも解釈できます。
――いずれにしろ、これほど「SNSがないと困る」「SNSは自分にとってなくてはならない」と思う人が多いのは、スマホ依存の面で問題があるのではないでしょうか。現在70代の私は、LINEは使っていますが、「X」「Instagram」「Facebook」「TikTok」を使ったことがないし、少しも困っていません。
老婆心ながら、SNSに使う時間があるなら、もっと本を読んだり、生身の人と会ったり、アウトドア活動をしたり、劇場などで生の音楽・演劇・映画などに触れたりしたほうがいいと思いますが、いかがでしょうか。
小島誠也さん 前半のスマホ依存の問題につきましては、この調査結果からは判断ができかねます。依存のような傾向がみられる場合には注意が必要ですが、そうでない場合も多分にございます。
昨今、SNSを用いてニュースや生活に必要な情報を取得している人も増えているほか、SNSの利用が人間関係の拡大・深化に寄与しているとも考えられます。
そういった点でこうした必需意識があると考えると、文章を読むということや人との交流、そのほかいろいろなものに触れる機会がSNSによってもたらされているとも言えます。