告示前に「政治活動」でアピールできなかった事情
筆者はネットニュース記者から独立後、23年春の統一地方選挙に、生まれ育った街で立候補した。「しがらみなく、オリジナリティーある政策を打ち出したい」と、国政政党には所属せず、自ら立ち上げた政治団体(いわゆる諸派)から挑んだが、結果は最下位落選者から2番目の惨敗だった。
敗因は明確で、圧倒的な知名度不足だ。告示後わずか7日間(筆者が出た東京23区議選の場合)で、無名の人物が新たに得られる知名度は、たかが知れている。いくつかの陣営は、「事前運動」と、平時から行える「政治活動」の線引きが明確でないことに目をつけて、文言を工夫しながら、告示のかなり前から後者の名目でアピールしていた。とはいえ、もし厳密に公選法が適用されていれば、ハテナが浮かぶものも中にはあった。
しかし私には、それができなかった。「政治色」が好まれない本業(ライター)ゆえ、出馬表明をした瞬間に、開票日までの仕事がなくなるからだ。筆者は若干特殊な事情だが、勤務先や家庭との折り合いで、告示直前まで表立った活動ができない志願者は珍しくない。