2024年10月から従業員51人以上の企業(従来は101人以上)で週20時間以上働くパートやアルバイトも、社会保険への加入が必要となる。
そうなると、「年収の壁」を気にせず働ける一方、扶養から外れて税負担が増える心配もある。
働く主婦・主夫層のホンネ調査機関「しゅふJOB総研」(東京都新宿区)が2024年9月3日に発表した「社会保険適用の従業員規模に関する意識調査」では、社会保険適用の拡大に「賛成」が「反対」の2倍となった。
働く女性にメリットとデメリットがある今回の動き。専門家にどう働けばメリットを生かせるかを聞いた。
メリットは将来の収入増、デメリットは現在の収入減
社会保険の加入対象の拡大は、労働人口の減少や少子高齢化、またワークスタイルが多様化する現状に合わせ、不公平がない社会保険事業を進めるために政府が段階的に進めてきた。
社会保険が適用されれば厚生年金に加入するため、「年収の壁」が取り払われる。収入の上限を意識せずに働き続けることができ、老後の収入も増える。しかし、社会保険料を納めなければならず、扶養から外れて税負担が増加する懸念もある。メリットとデメリットがあるわけだ。
しゅふJOB総研の調査(2024年7月25日~8月1日)は、同居家族のいる就労志向のある主婦・主夫層420人が対象。
まず、10月から社会保険適用の対象企業が51人以上に拡大されるのを知っていたかを聞くと、「知っていた」(63.8%)が6割を超え、関心の高さがうかがえた【図表1】。
対象企業が51人以上に拡大されると、仕事をする際の希望条件に影響があるかを聞くと、「影響はない」(39.3%)が最も多かったが、「今より給与を高くしたい」(22.9%)が2割以上おり、メリットを生かして収入増を考える人が一定数いることがわかった【図表2】。
現在、政府内では社会保険制度の適用範囲について、従業員数などの条件を完全に撤廃する論議が進められている。そのことをどう思うか聞くと、「撤廃したほうがいい」(28.6%)が、「撤廃しないほうがいい」(14.3%)の2倍だった【図表3】。