パワハラ疑惑を受け、兵庫県議会の全議員から辞職を迫られている兵庫県・斎藤元彦知事が、徹底抗戦の構えを見せている。
県議会からは、2024年9月19日に開かれる議会の初日に、不信任決議案が出される見込みだ。斎藤知事が徹底抗戦を続けた場合、事態の決着には相当時間がかかることになりそうだ。
県議86人全員が足並みそろえて辞職要求も...
斎藤知事をめぐっては、元県民局長が3月に斎藤知事らに関するパワハラ疑惑を主とする内部告発文書を作成し、一部の報道機関などに送った。告発文書の存在を知った斎藤知事は告発者を特定し、元県民局長を懲戒処分とした。元県民局長は7月に自殺している。
9月上旬の百条委員会では、疑惑に関する証人尋問が行われた。斎藤知事はパワハラ疑惑については認めず、「告発というより、誹謗中傷性の高い文書」と従来の主張を繰り返した。
かたくなな姿勢を貫いてきた斎藤知事だが、11日の定例会見では、突如、目を赤くして涙を浮かべた。「自分自身に対して悔しい思い」「本当に申し訳ないという思い」といった言葉を口にした。しかし進退については、「県民の皆様のためにやっていきたい」と、辞職の意思はないことを改めて明らかにした。
12日には県議会最大会派の自民党などが、斎藤知事の辞職を求める申し入れを行った。既に辞職を要求していた日本維新の会を含め、県議86人全員が足並みをそろえての辞職要求となったが、斎藤知事は「それでも私は知事として、県政を担わせていただきたい」と辞職を否定。13日にも「これまで3年間、しっかりやってきた歩みを続けたい」と語り、続投の意思を示していた。
不信任決議→議会解散→不信任決議→知事選の「フルコース」なら約半年?
続投一択の斎藤知事に対し、県議会では19日からの本会議初日に不信任決議案が提出される見通しだ。
一方の斎藤知事は17日、報道陣に対し「人間ですから、日々のこういった状況の中で不安な思いとか、苦しい思いありましたけど、これまでの県政の歩みをこれからも進めたい」と改めて辞職を否定した。
方針通り不信任決議案が提出・可決された場合、兵庫県政は不安定な状況がさらに続くことになりそうだ。
知事は不信任決議の通知を受けてから10日以内に議会を解散することができるが、ここで解散しなかった場合は失職となる。徹底抗戦の構えを見せている斎藤知事は解散を選ぶ可能性がある。その場合、県議選が行われる。
議会を解散した場合も、改選後の初めての県議会で再び不信任案が可決されれば、知事は即日失職することになる。つまり、県議選後に開かれる県議会でも不信任決議が可決された場合、失職による県知事選が行われ、やっとひと段落......という流れだ。
不信任決議の提出・可決から議会解散、再度の不信任決議、そして失職に伴う知事選までの一連のステップをすべて実行した場合、約半年ほどの期間がかかるとの見方もある。
「県民の皆様のために」と語り、続投を主張している斎藤知事だが、SNSでは「県民としてはフルコースは辞退したいところですが、どこまで行くのでしょうね。ため息です」「えらい手間と時間の無駄」など、辟易とする人々の声が多く上がっている。