自民党総裁選で注目集める「労働市場改革」 企業担当者は期待「自信持って積極的に押して」

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「正社員保護の常識は戦後の慣行」

   日本の法制度では確かに解雇は可能だが、それは実定法上の話であり、労働者側から不当解雇を訴えられれば会社が負ける確率が低くないとされる。勝訴した社員は復職し、会社は解雇日から判決確定日までの賃金をさかのぼって支払わなければならない。

「ようするに、会社には解雇権があるけど、実際に解雇しようとすると裁判所が『解雇権を濫用するな』といって不当解雇の判決を出す、ということです。会社の解雇が『合理的理由を欠き、社会通念上相当性を欠く場合』に当てはまるというんですが、会社側から見れば、小泉氏も触れた4要件はハードルが高すぎるんですね」

   たとえば、会社が将来的な業績予測を踏まえて事前に余剰人員を解雇しようと考えても、実際にはできない。解雇できるのは、業績悪化等の経営上の理由がなければならない。会社がいよいよ傾いて経営危機に陥らないと、リストラはできないのだ。

   しかし景気がよく業績がいいうちに解雇した方が、再就職の道も多いし、会社としても手厚いケアができる余裕がある。人手不足の中で人の取り合いが起きて成長分野に人員が移動すれば、日本経済全体の活力が強くなるというわけだ。

「裁判所は『正社員は長期的な雇用を期待することが一般的』ということを前提としているといわれますが、そんな社会的常識は戦後の慣行ですよね。将来的に『正社員でも高給を求めて、会社を転々とするのが一般的』に変わることだってありうるんじゃないですか」

   リストラの際に非正規雇用を先に切る理由も、裁判所が正社員の権利を過剰に保護しているから、というのがAさんの意見だ。小泉氏が「正規、非正規の格差の解消是正」を指摘しているのは、こういう意味だったようである。

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