阪神が2024年9月13日、秋山拓巳の現役引退を発表した。
3度の2桁勝利をマーク ウエスタン・リーグで5度の最多勝
秋山は身長188センチ、100キロを超える恵まれた体格とは裏腹に、投球は繊細だった。
抜群の制球力と緩急自在の投球を武器に17年に自己最多の12勝をマークすると、20、21年も2ケタ勝利をマーク。
近年は若手の台頭で先発の登板機会が減ったが、気持ちが折れることはなかった。
昨季はウエスタン・リーグで2年連続5度目の最多勝を獲得。ただ、1軍登板は2試合に終わり、38年ぶりの日本一に輝いた歓喜の輪に入れなかった悔しさがあっただろう。
巻き返しを誓った今季だが、1軍登板なし。ウエスタン・リーグで17試合登板し、3勝5敗、防御率4.62だった。
「野手でプレーしている姿を見たかった思いが...」
秋山が注目を集めたのは投球だけではない。
西条高で「伊予のゴジラ」と形容された規格外の打撃も話題になった。17年8月18日の中日戦で、ナゴヤドーム上段に叩きこむプロ初アーチを放つと、18年5月8日の巨人戦で4回に左翼ポール際に叩きこんだ。
高校時代から秋山を知るスポーツ紙記者は、
「野手でプレーしている姿を見たかった思いが正直にあります。彼の能力を考えたら20本塁打以上打っても不思議ではない。でも、投手として野球人生を全うしたかったのでしょう。1軍で通算733イニング、ファームで1000イニング近く投げているのは立派です。苦労した分、得たものは多いと思います。コミュニケーションが高い選手なので、指導者に向いている。少し休んだら、また野球界に戻ってきてほしいですね」
と期待を込める。
阪神で全うしたプロ15年間の野球人生。現役生活にピリオドを打ったが、セカンドキャリアでの活躍を願うばかりだ。(中町顕吾)