兵庫県限定で販売されている「丹波ウイスキー」について、地元で醸造されたか確証がないので扱えないと酒屋が貼り紙を出していたとX上で投稿され、波紋が広がっている。
このウイスキーを製造・販売する「四季酒造」(同県丹波市)は、「以前に造ったものを一部入れたが、提携蒸溜所のも混ぜている」と取材に説明した。混ぜたものは海外産の可能性もあるといい、「ジャパニーズウイスキーはうたっていませんが、誤解を与えていますので、今後の対応を協議中です」と明かした。
一部の酒屋が「地元醸造の確証が得られない」と販売中止に
貼り紙の写真は、2024年9月11日にX上で投稿された。
その内容によると、酒屋は、四季酒造の四季丹波蒸溜所で醸造・蒸溜・貯蔵を行っていると聞いて、丹波ウイスキーの取り扱いを始めた。その後、蒸溜所を見学しようとしたが、忙しいと断られ、現地を見に行くと、人の出入りはほとんどなかったという。酒造側からは、市内で移転先を探していると説明を受けたが、説明があやふやで地元醸造の確証が得られず、取り扱いをいったん中止にしたと告知している。
この投稿は、7万件以上の「いいね」が集まり、大きな反響を呼んだ。ウイスキー愛好者らからは、四季丹波蒸溜所に実態があるのかなどについて、様々な情報が寄せられて関心を集めている。
四季酒造の公式サイトなどによると、5年前に会社が設立され、翌年にウイスキーの製造免許を取った。丹波ウイスキー6種類を販売しており、24年5月には、アメリカの蒸留酒品評会で金賞などを受賞したという。
サイト上では、四季丹波蒸溜所のページを設け、醸造などの写真はないが、「雄大な自然の中で育まれた新たなウイスキー」などと紹介している。また、公式Xでは9月9日、「丹波地域の寒暖差の大きな気候と、四季丹波蒸溜所の持つ技術の粋と情熱が一体となって生まれた逸品です!」とウイスキーをPRしていた。
もし地元で醸造などが行われていないとすれば、消費者に誤った情報を伝えることにならないのだろうか。
「私どもにも悪いところがあり、どう対応するか協議しています」
この点について、四季酒造の営業担当者は9月12日、J-CASTニュースの取材に対し、次のように説明した。
「ウイスキーの一部については、以前に造ったものになります。提携する国内の蒸溜所からも原酒の提供を受けており、ブレンドして使っています。どこの蒸溜所かは、社外秘です。この蒸溜所が海外産を使っている可能性もあるため、ジャパニーズウイスキーとはうたっていません」
実際に海外産を使っているかどうかは、分からないという。
四季丹波蒸溜所では、いったんウイスキーの醸造を止めていると説明した。それは、シャッターをこじ開けられたりするいたずら被害が多かったほか、違法駐車があって近隣から苦情が出たためだという。
「一部の酒屋様が貼り紙を出したことで、お客様に誤解を与えてしまいました。貼り紙にあった移転先は探していません。しかし、私どもにも悪いところがあり、蒸溜所を再開するかも含め、どう対応するか協議しています。落ち着いてから、何らかの説明を出すことも検討しています。ウイスキーは美味しいので頑張ってほしいとの声もたくさんいただいています」
一方、この騒ぎで、同じ「丹波」の商品名でウイスキーを出している酒造メーカー「黄桜」(京都市)にも、問い合わせが寄せられている。同社の公式Xでは12日、「再度のご案内」として、23年11月に引き続き、「黄桜 丹波シングルモルト」の類似品が報告されているとして、注意を呼びかけた。
類似品とは四季酒造の商品を指すのかについて、同社の担当者は同日、取材に次のように話した。
「類似品を特定しているわけではありませんが、私どもの商品と間違えて購入しないように呼びかけました。私どもは、ジャパニーズウイスキーの基準を満たしており、誤認されては困ります。他社の商品については、コメントする立場にはありません」
(J-CASTニュース編集部 野口博之)
【再度のご案内】
— 【公式】黄桜 カッパ広報部 (@kizakura_kappa_) September 12, 2024
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