早稲田大学で行われたマークシート方式の期末試験で、解答できないときに勘で記入することを不正とみなして単位を落とす措置が取られたとして、こうしたことはおかしいのではないかと、X上で問題提起があった。
政治経済学部の教授がこの措置を導入し、不正と認定されて単位が取れなかった学生が多数いたという。早大の広報課は、「今回の対応については問題があったと認識しております」と取材に説明し、「教授には厳重に注意を行い、客観的な基準にもとづく成績の再評価を指示しました」と明らかにした。
「問題を解けない場合、解答欄を空欄にするのが当然」とも
問題提起の投稿は、2024年9月2日にX上であった。
投稿では、8月31日に学内で出された「『期末試験に関する注意事項』に従わなかった学生への措置」を引用して取り上げた。
その文面によると、試験当日に注意事項を告知し、「不自然な解答の仕方をしている」と教員が判断した答案は無効にすると伝えた。そして、この注意事項を無視した答案については、「一律0点」にしたことを報告した。
その理由として、「不自然な解答がたまたま正答に一致してしまった場合、不正に点数を得ることになる」とし、不自然な解答を記入すれば不正行為になると断じた。「どれかの番号をマークしておけば当たるかもしれないと考えて、不自然なマークをすること」が不正行為であり、「問題を解いて、解答を導けなかった場合、それに該当する解答欄を空欄にするのが当然」だとした。そのうえで、「マークシート形式の試験を悪用したこのような行為を、教員は容認しません」と強調した。
試験でかなりの手応えがあったにもかかわらず、単位を取得できなかった学生もいるといい、「解けなかった問題の解答欄を空欄のままにしておけば、単位が取得できたであろう方はたくさんいました、大変残念です」としている。
こうした措置について、投稿者は、たとえ真剣に考えて解答したとしても、マークシートをすべて記入した場合は不正行為とみなされかねないとして、疑問を呈した。そして、学生に公開された成績評価の分布を見ると、不正行為とみなされて103人の学生が単位を落としたことが分かるとして、この人数は異常であり、救済策が取られるべきではないかと訴えている。
「客観的な基準にもとづく成績の再評価を指示しました」
これらの投稿は、大きな反響を集め、学生への措置を引用したものは、6万件以上の「いいね」が集まっている。
マークシートをめぐるこの対応については、疑問の声の方が多いようだ。「一生懸命考えた回答なのか当てずっぽうなのかどうやって判断するんや?」「択一問題で、確信がなくてもどれかに丸をつけるなんて昔から普通だ」「記述式のテストにすればいいのに」といった意見が寄せられている。
9月4日ごろになって、学内で動きがあったとの情報がX上で出て、投稿者も同日、マークシートの解答通りに採点することになったと報告した。6日ごろには、成績が修正され、単位が取れたとの投稿も出た。
早大の広報課は9日、J-CASTニュースの取材に対し、ネットで名指しされた教授について、政経学部の役職者が面談を行ったとしたうえで、メールの回答でこうコメントした。
「『不自然な回答』を客観的に判断することができないため、政治経済学部は今回の対応については問題があったと認識しております。教授には厳重に注意を行い、客観的な基準にもとづく成績の再評価を指示しました」
今回の対象になった学生については、大学からの連絡が完了しているとしたうえで、こう述べた。
「今後も学生からの問い合わせに対しては、一連の経緯を踏まえ丁寧に対応する所存です。なお、単位を落とした学生の人数は公表しておりません。また、本学では単位を落とした学生について、その理由を公表することはしておりません」
(J-CASTニュース編集部 野口博之)