情報通信業には高齢経営者がいい、意外な理由
――【図表3】の産業別の比較で、特に不動産業と運輸業で経営者が若いほど黒字率が高くなるのはなぜでしょうか。
担当者 不動産業や運輸業は、取引先が比較的固定されており、代表者が高齢の場合ほど、長く取引を行ってきた顧客に価格転嫁などの申し入れをしにくくなります。
一方、若い経営者の場合、付き合いが短く、顧客への取引依存度も低いため、コストアップを価格転嫁しやすいと思われます。これは老舗企業で事業承継した若い経営者でも、過去のしがらみに捕らわれず自由な発想で事業に取り組めるといったことがあると思います。
―― 一方、同じく【図表3】では、逆に金融・保険業と情報通信業で経営者の年齢が高くなるほど黒字率が高くなるのはなぜでしょうか。特に情報通信業はイノベーションが活発で、ベンチャー企業が多いイメージがあり、とても不思議です。
担当者 金融・保険業と情報通信業は、人件費アップの影響はありますが、他産業と比較して原材料などの物価高騰の影響を受けにくい産業です。
また、仕組みやインフラを作り、定額サービスを提供して継続的に収益が入る「ストック型ビジネス」の割合が高いため、代表者が高齢で業歴が長く、契約している顧客が多い企業ほど利益が確保しやすいと考えられます。