独立して自分の店を持ちたい美容師多く、過当競争に
J‐CASTニュースBiz編集部は、調査を担当した帝国データバンク情報統括部の飯島大介さんに話を聞いた。
――倒産急増の背景には、新規開店が増えた過当競争がありますが、そもそもなぜ新規開店が多いのでしょうか。私の最寄り駅前の商店街でも、約300メートルの小さな通りに7、8軒の美容室がひしめています。
飯島大介さん 若者の人口が減少しているのに、美容師になる人が増えているからです。厚生労働省の調査によると、昨年(2023年)現在、全国の美容師の数は約57万人。前の年より1万人以上多くなっています。
美容師の世界は徒弟制度と言われ、1人前になるまで店長の元で腕を磨きます。なかには労働環境がよくないとか、収入が悪いといった理由で飛び出す人が多いでしょう。もともと、独立して自分の店を持ちたい夢を抱いて美容師になった人が多いです。
自分が店長になり、若い美容師に自分のような苦労をさせたくない、自分の技術とアイデアで新たなヘアスタイルを提案する店を作りたいという志を持っている人が少なくありません。だから、入れ替わりがとても激しい業界です。
――赤字経営のところが4割近くあると指摘していますね。
飯島大介さん 円安や原材料高の影響を受けて、シャンプーなどの美容資材の価格が高騰しています。業務用とはいえ、シリコンシャンプーなどの高級品は輸入物が多いですから、輸送コストも上がっています。
先ほど駅前に美容室が多いと言われましたが、駅前なら地価・地代も高くなっているはず。また、最低賃金が上がっており、美容師の人件費も高くなっています。