2024年9月27日投開票の自民党総裁選に立候補を表明している河野太郎デジタル相が5日13時より、総裁選に向けての政策発表会見を行った。
河野氏をめぐっては、3日にXで「年末調整を廃止して、すべての国民に確定申告をしていただきます」と表明。国民への負担が大幅に増えるとして、インターネットを中心に怒りの声が相次いでいた。
会見では、ネットで大きな注目を集めた確定申告に関する話題について、改めて、その詳細と意義を説明した。
「個人の確定申告がほとんど手間要らず」「年末調整が不要に」主張も大ひんしゅく
河野氏は3日、総裁選に向けた政策のひとつ「真に支援を必要としている人を正確に把握し、迅速に支援に繋げるためのデジタルセーフティネットをつくります」とする主張の中で、「移行期間を経たうえで年末調整を廃止して、すべての国民に確定申告をしていただきます」とした。
現在はバラバラに提出されている所得関連のデータを国の窓口機関で一元管理することで、「所得に関わる税・社会保険料の情報を関係機関と連携して、必要な人にプッシュ型の支援を迅速に実施」したいとしていた。
国民に対しては「雑所得の経費だけ手入力が必要になりますが、その他の入力、計算は自動でできるので、個人の確定申告がほとんど手間要らずで出来る」、事業者に対しては「税務署、社会保険事務所、ハローワーク、労働基準監督署、自治体の税務課等への書類送付と年末調整が不要になり、大幅な事務コストの削減」につながるとしたものだが、投稿を見た人からは反発の声が相次いだ。
「他人の財布に口出しする前に...」「支援が必要な人しかメリット無い」との批判も
現行の確定申告は、基本的に税金を「納める」「還付を受ける」のどちらかに当てはまる人を対象としている。
個人事業主やフリーランス、不動産所得のある人、給与の年間収入金額が2000万円を超えている人などは、税金を納めるために確定申告を行う必要がある。また、給与所得者でも「年間の医療費が10万円を超えた」「家を購入し住宅ローンを組んだ」「寄付やふるさと納税を行った」「年の途中で退職して年末調整を受けていない」などの理由で、税金の還付を受ける場合には申告を要する。
こうした中、「すべての国民」が確定申告をしなければならないとする河野氏の主張について、確定申告への忌避感や、自民党の裏金問題などへの怒りをつづる投稿が相次いだ。
「他人の財布に口出しする前に税金の無駄遣いを徹底的に洗い出して無くしてくれ」
「確定申告やらなくていいから会社員やってるようなものなのに!!! それだけはやめて...!!!」
「全ての納税者が確定申告するメリットを簡潔明瞭に書き込みされたし 支援が必要な人しかメリット無いように見える」
最終目標は「数字を見てポチッとボタンを押せば、それで確定申告が終わる」
河野氏は9月5日午後に開いた記者会見で、1時間にわたって政策について説明した。
河野氏は記者会見冒頭で、「デジタルセーフティーネット」について説明する中で、年末調整と確定申告の関係に触れた。河野氏によると、事業者が従業員に給与を支払ったら、給与、源泉徴収、保険料のデータを「一元的な窓口」にデジタルで送る。このことで、企業は年末調整の負担がなくなると説明している。
「窓口は税務署だったり年金機構だったり市町村に、そのデータを連携を必要とするところへお出しをする。税務署は頂いたデジタルデータを ベースにそれぞれの皆さんのマイナポータルを経由してe-tax、(地方税ポータルシステムの)eLTAXに、そのデータを自動入力していくから、最終的に年末調整をやめる企業はその負担がなくなる」
さらに、代わりに行う確定申告でも、従業員の負担は軽いことを強調した。
「今企業はいろんなところにいろんな書類を出さなければいけないが、窓口機関に都度デジタルデータを出していただければ、あとはデータは自動的に蓄積され連携されていくから、いちいち複雑な書類をいろんなところへ出していく必要もなくなる。そして、最終的には全ての皆さんの確定申告票が自動で入力されて、それを確認していただいて......雑所得がある人はそこに必要経費を書き込むというのはやっていただく必要があるかもしれないが、それ以外の人はその数字を見ていただいてポチッとボタンを押していただければ、それで確定申告が終わる。これがゴールだ」