民主党のハリス副大統領と、共和党のトランプ前大統領が激突する米大統領選挙。予断を許さない情勢だが、トランプ氏が大統領になった場合の経済への影響は予測不能と言われている。
そんななか、東京商工リサーチが2024年8月26日、「もしトランプ氏就任なら、業績予想は『マイナス』『プラス』?」と国内企業に聞いた調査を発表した。
「わからない」が半数を占めたが、「マイナス」と答えた企業が全産業で「プラス」を上回った。「もしトラ」のどこがリスクになるのか。調査担当者に聞いた。
「プラスの影響」トップは、総合商社など商品卸売業
東京商工リサーチの調査(2024年8月1日~13日)は、全国5956社(うち資本金1億円以上の大企業626社、1億円未満の中小企業5330社)。
トランプ氏が米大統領選で勝利した場合の業績への影響を聞くと、「分からない」(50.6%)が半数を占め、「影響はなさそうだ」(25.6%)も4社に1社だった。ただ、「マイナス」ととらえる企業は16.3%に対し、「プラス」(7.4%)の2倍以上に達した【図表1】。
「マイナス」の割合は、大企業(18.0%)のほうが中小企業(16.0%)より多い。
産業別では、10産業すべてで「マイナス」が「プラス」を上回った。特に、農・林・漁・鉱業(22.4%)、製造業(21.0%)で「マイナス」回答率が高く、トランプ氏が掲げる一律関税などの保護主義的な政策への懸念が強いことがわかった。
産業を細分化した業種別でみると、「プラス」のトップは総合商社が含まれる各種商品卸売業(34.4%)、次に道路旅客運送業(26.3%)。一方、「マイナス」のトップは宿泊業(30.7%)、次に情報通信機械器具製造業(29.4%)となった【図表2】。
次期米大統領の政策で注目する点は何かを聞くと、最高が「通貨・為替政策のあり方」(60.3%)で、「台湾有事を含めた中国との関係性」(50.7%)、「ウクライナ情勢を含めたロシアとの関係性」(7.3%)が続く。輸出産業を中心に、「為替」や「地政学リスク」の注目の高さが表れたかたちだ【図表3】。
興味深いのは、「通貨・為替政策のあり方」が「もしトラ」のプラス、マイナス双方でともにトップだということだ。これはいったい、どういうことだろうか。