全国的に夕刊が姿を消す流れは、この秋も続きそうだ。東京新聞は2024年8月いっぱいで東京23区以外で夕刊の配達を取りやめるのに加えて、9月から5年5か月ぶりの値上げに踏み切る。
全国紙では、朝日新聞が9月いっぱいで静岡、山口、福岡の3県で夕刊の発行をやめる。朝日としては、九州・沖縄と山口県を管轄する西部本社管内から夕刊が姿を消すことになる。日本経済新聞も、同じタイミングで北九州市周辺と下関市で夕刊をやめる。
速報性に劣ることなどから朝刊しか購読しない家庭も多く、これに用紙代や燃料費などの経費増加、配達のための人手不足などが追い打ちをかけている。
朝刊12万0248部あるのに夕刊2万2431部......深刻すぎる「セット割れ」
部数が右肩下がりで推移する新聞の中でも、夕刊は特に下げ幅が大きい。日本ABC協会がまとめた都道府県別部数によると、東京新聞朝刊の24年4月時点の部数は35万5001部に対して、夕刊は10万3520部。10年前と比べると、朝刊は30.6%、夕刊は47.9%減少している。
東京新聞の夕刊は都内の部数が6万6887部で、そのうち23区内が4万9700部。つまり、9月からは夕刊の発行を半減させる形だ。過去に大手紙が首都圏で夕刊の発行をやめた例としては、02年の産経新聞が知られている。
九州・山口でも夕刊が姿を消しつつある。朝日は8月2日の紙面に掲載した社告で、10月1日から福岡県と山口県で夕刊の発行を休止すると発表。「新聞用紙など原材料の高騰や、みなさまにお届けする経費の上昇」に加えて、「朝刊のみ購読を希望する方や、本社のデジタルサービスを利用する方」が増えたことが背景にあるとしている。これで、朝日の西部本社管内から夕刊が姿を消すことになる。
両県での朝日夕刊部数は、福岡が2万2431部、山口851部。福岡は福岡・北九州の両都市圏がほとんどで、山口では下関市が100%だ。朝刊は福岡12万0248部、山口6万6989部。 社告で「朝刊のみ購読を希望する方」に言及しているように、新聞業界では、朝刊または夕刊の片方しか購読しない「セット割れ」が問題化してきた。朝夕刊両方をセットで購読する「セット率」をみると、福岡18.6%、山口1.3%だ。