マスク氏とトランプ氏、「くせ者」同士が手を組む真意
――ところで、トランプ氏は「スペースX」や「テスラ」のCEOのイーロン・マスク氏を重要なポストに起用すると発言、マスク氏本人も乗り気になっていますが、この2人の動きをどう見ますか。
前田和馬さん トランプ氏と同様、マスク氏の本心が読めないですね(笑)。マスク氏は過去2回の大統領選では、ヒラリー・クリントン氏、バイデン氏と民主党候補を支持してきました。それがなぜ、共和党支持へ鞍替えをしたのか。
マスク氏は12人の子どもがいる子だくさんパパとして知られますが、息子の1人は女性への性転換を行い、法的に女性として生活していると報道されています。
この時の経緯を含めてマスク氏は民主党のトランスジェンダー政策に不満を示しており、今年、スペースXとX(旧ツイッター)の本社をリベラルなカリフォルニア州からテキサス州に移すと宣言しました。なお、すでに2021年にはテスラの本社をテキサスに移しています。
――つまり、マスク氏は民主党が進めているジェンダー政策に反発したということですか。
前田和馬さん 不満があるのは確かなようですが、それが決定的要因なのかはよくわかりません。「スペースX」は宇宙関連事業ですから、政府との強い関係はビジネス上有利に働きます。あるいは、トランプ氏の反電気自動車(EV)の政策スタンスは「テスラ」に影響が大きいため、トランプ氏を内部から動かしたいという狙いがあるのかもしれません。
また、ハリス氏の民主党はAI開発に「さらなる規制をかけようとしていますが、トランプ氏はイノベーションを起こすために規制緩和を進める考えです。マスク氏はAI開発のルール作りに関与したい思惑があるとも考えられます。
しかし、2人は非常に「くせ」が強い者同士ですから、本当にうまくやっていけるのかはよくわかりません。マスク氏はトランプ前政権時にもアドバイザーを務めていましたが、1年を経たずに辞任しています。