どちらがプラス? 1年目はトランプ氏、2年目以降はハリス氏
――例によって、トランプ氏の話は、不確実性の話ばかりですね。ところで、ズバリ、トランプ氏とハリス氏ではどちらが大統領になったほうが、世界経済や日本経済にはプラス、あるいはマイナスになるのでしょうか。
前田和馬さん トランプ氏がなったほうが、最初の1年はプラスだと思います。トランプ氏が最初に取り組むのは大幅な減税と思われます。米国経済を取り巻く環境が大きく変わらないのであれば、企業活動が活発になり、消費が拡大するでしょう。これは米国株にプラスです。米国経済や米国株の好調さは世界に波及しますから、日本株にも好材料でしょう。
2016年も、当選前はトランプ氏のリスクの話ばかりが多かったですが、結果的には減税への期待から当選後に「トランプラリー」が起こりました。
――めでたし、めでたしということになるのでしょうか。
前田和馬さん ただし、2年目からはハリス氏のほうがよかったということになるかもしれません。「関税引き上げ」問題が出てきて、世界経済が混乱に陥るリスクがあるからです。輸出に頼る企業が多い日本経済にとってマイナスです。
また、トランプ氏の強引な移民政策も、もし実現できたとしたらの話ですが、さきほど述べたようにインフレを加速させる要因となり、2年目以降は経済を下押しする要因になるでしょう。
トランプ氏の場合、とにかく先が読めないのは特徴です。減税もねじれ議会となる場合には実現性が怪しくなります。トランプ氏の気持ち次第で、政策の方向性が大きく変わる方向性も否定できません。為替の状況でもトランプ氏は振れ幅が大きくなるでしょう。
――それは、どういう理由ですか。
前田和馬さん トランプ氏は、米国の製造業保護のために盛んに「ドル安・円高」にすると言っています。しかし、関税を引き上げれば米国の輸入量が減るため、ドルから外貨への需要が減り、ドル高要因となります。また、関税や移民制限でインフレが再燃した場合、ドル高になったほうがインフレは収まりやすくなります。
為替問題をとってみても、トランプ氏の経済政策はちぐはぐです。