「ハリスVSトランプ」米大統領選「経済政策」比較...どちらが勝つと世界と日本にプラス? 最悪シナリオは米国債のデフォルト(1)/第一生命経済研究所・前田和馬さん

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トランプ発言は常に割り引いて聞く必要がある

――なるほど。もう1つ、世界が注目しているのは「関税」の問題ですが、トランプ氏とハリス氏ではどこが違うでしょうか。

前田和馬さん トランプ氏の主張は非常に過激です。対中国の関税を60%に引き上げるとか、国内産業を保護するために「全輸入品に一律10%~20%の関税を賦課する」と演説で語るなど、従来の「一律10%の関税」からさらにエスカレートしています。

――大変じゃないですか。輸入品の物価が上がって困るのは米国民ではありませんか。

前田和馬さん そのとおりです。第1次トランプ政権で対中関税を引き上げた時、それによるコストは米国の企業と家計がほとんど負担したと言われています。

しかし、トランプ氏の主張は2つの側面でみる必要があります。1つは、本人に本当にその気があるのかどうか。もう1つは、その気があったとしても実現できるのかどうかです。つまり、常に割り引いて聞く必要があるということです。

トランプ氏はビジネスパーソンです。第1次政権の時も、関税引き上げを交渉材料に使い、相手国に「米国の農産物を輸入しろ」とか、「米国に工場を作り、米国人を雇用しろ」と持ちかけた例があります。

台湾政策に関しても、トランプ氏が中国との交渉材料に使うのではないかと懸念する声があります。さすがに周囲が止めるでしょうが、もし短期的な目線だけで外交方針が変わるとなると、米国の国際社会での信用は大きく損なわれるでしょう。
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