「ハリスVSトランプ」米大統領選「経済政策」比較...どちらが勝つと世界と日本にプラス? 最悪シナリオは米国債のデフォルト(1)/第一生命経済研究所・前田和馬さん

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   民主党のカマラ・ハリス副大統領と、共和党のドナルド・トランプ前大統領が激突する米大統領選挙。世論調査では僅差でハリス氏がリードしていると伝えられるが、予断を許さない情勢だ。

   2人の経済政策はどう違うのか。どちらが大統領になったほうが、世界経済や日本経済にとってプラスなのか、あるいはマイナスになるのか。

   米大統領選挙を経済面からウォッチし続けている第一生命経済研究所のエコノミスト前田和馬さんに話を聞いた。

  • カマラ・ハリス氏がジョージア州遊説(写真:ロイター/アフロ)
    カマラ・ハリス氏がジョージア州遊説(写真:ロイター/アフロ)
  • 前田和馬さん(本人提供)
    前田和馬さん(本人提供)
  • カマラ・ハリス氏がジョージア州遊説(写真:ロイター/アフロ)
  • 前田和馬さん(本人提供)

法人税率を引き下げるトランプ氏、引き上げるハリス氏

   第一生命経済研究所経済調査部の主任エコノミスト前田和馬さんのリポートは「ハリス氏が政策アジェンダを公表」(2024年8月20日)と、「ハリスノミクスvs.トランポノミクス」(2024年7月26日)の2つだ。

   民主党のハリス副大統領と、共和党のトランプ前大統領が対決する米大統領選の行方を、税制や通商などの経済政策の比較から分析した。

   まず、税制ではトランプ氏は2025年末に失効する富裕層向けのトランプ減税(第1次政権時にスタート)の延長が柱。そして、法人税率を21%から15%に引き下げる。

   これに対してハリス氏は、所得制限付き児童税額控除の拡充など、低所得者や中間層を中心に減税を打ち出している。また、法人税率を21%から28%に引き上げるとしているのが大きな違いだ【図表】。

(図表)ハリス氏とトランプ氏の税制公約と今後10年間の財政規模(第一生命経済研究所の作成)
(図表)ハリス氏とトランプ氏の税制公約と今後10年間の財政規模(第一生命経済研究所の作成)

   関税では、トランプ氏は全輸入品の一律10%~20%の関税を主張。さらに対中国関税を60%に引き上げるとしている。ハリス氏は2024年8月30日現在、具体的な関税政策を発表していないが、バイデン政権の政策を維持するとみられる。

   2人が大きく異なるのは環境政策だ。トランプ氏は「パリ協定」からの脱退を表明。就任初日から石油などの化石燃料を増産、ガソリン価格を引き下げると主張する。ハリス氏は気候変動対策の国際的な協調を維持する立場。再生エネルギーの普及に積極的で、環境投資を推進するとみられる。

   焦点となっている移民政策では、トランプ氏は不法移民を強制送還すると主張。ハリス氏も超党派で合意した国境警備法案を成立させ、メキシコ国境の取り締まりを強化するとの立場だ。

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