2024年8月30日の午前から昼にかけ、Xに「多摩川氾濫」がトレンド入りしている。
台風10号の接近に伴い関東でも激しい雨が降っているが、30日16時時点で多摩川の氾濫の事実はない。
こうした状況を受け、東京都の宮坂学副知事はXを通じて「公式のサイトから一次情報を」などと注意喚起を行っている。
「Xのトレンドに多摩川氾濫が入っており、一部昔の写真が使われてるとのこと」
「過去最強クラス」の可能性があるとして気象庁が警戒を呼びかけている台風10号が、ゆっくりとしたスピードで日本列島を北上している。長く九州地方にとどまっていた台風は、30日午後には四国に再上陸する可能性が高いという。この台風の影響を受け、全国各地で激しい雨が観測されている。
関東でも広い地域で激しい雨が降り続いている中、30日になってXのトレンドに「多摩川氾濫」のワードがランクインした。一連の投稿には、多摩川の増水に伴い、河川敷が水没している様子を写した写真などが目立つ。
しかし、30日16時時点で多摩川の氾濫の事実はない。
30日未明に東京都・神奈川県にかけ多摩川氾濫注意情報が発令されていた。1時21分時点では「多摩川では、氾濫注意水位に到達し、今後、水位はさらに上昇する見込み」とされていたが、同日14時4分に解除された。
こうした注意喚起の情報が拡散されたほか、Xでの広告収益につながるインプレッション数を得るため、注目を集めている投稿に意味のない言葉を返信・引用投稿する「インプレゾンビ」らが便乗投稿を行ったことで「多摩川氾濫」がトレンド入りしてしまったとみられる。
こうした状況について、東京都の宮坂副知事は30日、「Xのトレンドに多摩川氾濫が入っており、一部昔の写真が使われてるとのこと」と注意喚起を行った。
正しい情報については、「東京水防災総合情報システム」を確認してほしいとして「データや映像は公式のサイトから一次情報をご確認ください。リアルタイムで確認可能」と呼びかけた。
「多摩川氾濫に群がるインプレゾンビまじで辞めてくれ」
過去の画像が混乱を生んでいるのに加えて、最近の画像であっても誤解があるようだ。
「多摩川氾濫」に関する投稿には、バーベキュー場や公園、グラウンドなどが水没していると混乱するユーザーの声も多い。しかし、実は河川敷が水没してもいわゆる「氾濫」ではない。
河川敷は川の一部とされており、通常の川が流れている流路を「低水路」、大雨などで洪水になり洪水が流れるところを「高水敷」と言い、こうした作りによって急な増水による堤防の決壊を防いでいる。
多摩川を始め、河川の氾濫を防ぐためにゆとりを持たせている場所であり、Xで拡散されているような様子は氾濫状況ではないものだ。
これに加えて、いわゆる「インプレゾンビ」によるとみられる
「ちょっと待ってうちの近所の多摩川氾濫しそうなんだけど笑笑」
といった文章が大量に投稿されている。
こういった投稿について、「多摩川氾濫に群がるインプレゾンビまじで辞めてくれアカウント永久凍結お願いしますまじで困る」「トレンドになってる『多摩川氾濫』 河川敷が水没してるだけの映像でデマ情報流すのヤメイ!」など、怒るユーザーらの声も目立つ。
Xのトレンドに多摩川氾濫が入っており、一部昔の写真が使われてるとのこと。データや映像は公式のサイトから一次情報をご確認ください。リアルタイムで確認可能。
— 宮坂@東京都副知事&GovTech東京理事長 (@miyasaka) August 30, 2024
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