M&Aでは、自社にはないナレッジやマインドを取り入れ、相乗効果を高める
前川 M&Aにも積極的に取り組まれていますが、やはり成長スピードを求めるが故でしょうか。
浜野さん M&Aには2つのパターンがあると思います。
1つは、自社でもできる事業だけど、早期の規模拡大のために時間を買うものです。もう1つは、自社にはノウハウがないために、社外からナレッジを取り入れるものです。弊社の場合、どちらかといえば後者の比重が高いです。
OICグループのミッションは、食を通じて世界中の方の人生を変えていくことです。そこで、食に関連する分野限定ではあるものの、未知の事業に対しても積極的にチャレンジを続けています。
前川 具体例はありますか?
浜野さん 最近の例では、24年4月にはバーベキュー事業を行う「タイシステム」という会社に仲間入りしてもらいました。ロピアは精肉商品が強みの一つなので、全国の店舗のうち、屋上などに遊休スペースがある施設でバーベキュー・コーナーを併設し、店で買った食材を、そのままカートで運んでバーベキューできるようにするなどで食品スーパー×バーベキューのシナジーを発揮していきたいと考えています。
また、グループ内で作っているプライベートブランドの調味料をたくさん並べた調味料バーのようなものも面白いね、とか、肉をその場で切り分けるグラム売りのパフォーマンスを見せてはどうかなど、OICグループならではの企画についても相談しています。
前川 それは美味しそうで、楽しそうですね。ほかにもありますか。
浜野さん 創業160年の歴史を持ち、過去には皇室献上品も手がけていた老舗醤油製造会社「とら醤油」にも、昨年23年に仲間入りしてもらいました。そこで作った上質な調味料をロピアの店舗で販売するほか、グループ会社で業務用として使用することも考えています。
前川 メディアにもよく登場される、秋葉弘道社長が営むアキダイもグループ会社になられましたね。
浜野さん はい。秋葉社長は青果についての知見が豊富な方で、売り方も上手です。本来、スーパーマーケットはセルフサービスなので、あまり声掛けをしませんが、アキダイでは、「〇〇が今旬なので、おいしいよ」などお客様に声掛けを行いながら販売をしています。ロピアとしては、アキダイから特徴を語ったり、お薦め品を紹介したりといったような販売する楽しさや方法を学べると考えています。
前川 両社で交流はあるのでしょうか。
浜野さん 現在、ロピアからアキダイに若手社員を派遣しています。アキダイのマインドを学びつつ、それがロピアのマインドと融合することで新しい人材が育っていくというプラスの相乗効果を期待しています。
仲間入りした会社に私たちの理念や文化を理解してもらうことも必要ですが、一緒になった会社のよい所を私たちが学ぶことも大切です。
小売に特化してきたロピア、OICグループは、農畜産業、メーカー、商社、市場、外食、また他の小売とも接する中で、さまざまなナレッジを吸収して変化してきました。今後も食を通じてお客様に喜びや感動をお届けするために、M&Aによりさまざまな業種、業態の新しい会社に仲間入りしていただき、新しい価値を提供できるように変わり続けていきたいと考えています。
明日公開の<入社5年の若手を新規開拓エリアの事業部長に抜擢! ロピアがめざす100人の若手社長育成戦略とは【インタビュー】>に続きます。