現場主義を徹底した事業部制のチーフ経営とは
前川 現場主義を実現するための、具体的な組織についてうかがいます。本部機能と各店舗、店舗内でのリーダーと各売り場の関係など、どのように組織を構成して運用されていますか。
浜野さん 事業部制とチーフ経営の基本的な仕組みについてご説明します。
まず地域・エリア毎に営業本部が設置され、ひとつの営業本部内には精肉、青果、鮮魚、惣菜、その他一般食品等の事業部が存在します。
そして、チーフはこれらの事業部のいずれかに所属しています。現在約100店あるロピアの各店舗に、平均6人の事業部別のチーフがおりますので、全国で約600人のチーフがいる計算です。
前川 なるほど。
浜野さん たとえば、私が関東にある店舗で精肉事業部チーフを担当していれば、私の上司は関東エリアの精肉事業部長です。同じ店舗でも、隣に売り場のある鮮魚事業部チーフなら、上司は関東エリアの鮮魚事業部長です。店長は各事業部のチーフと同格で、一般的なスーパーマーケットとは異なり、チーフの上司ではありません。
商店街に精肉店や鮮魚店などの専門店が入っていて、チーフはそれぞれが個人事業主として売り場を経営しているイメージです。店長はいわば商店街の事務局長ですね。チーフたちの意見を聞きながら、レジ部門、施設管理、店舗の人事・総務を担当し、店舗全体の運営管理を行う立場です。
前川 店長がいるとはいえ、店において組織はピラミッド構造になっておらず、チーフたちはそれぞれ商いをしている同列の立場。各チーフの裁量と役割は明確で、上下関係ではないのですね。
浜野さん そうですね。弊社ではロピアに限らず、グループ全体で会社・部署ごとの責任分担を明確にしています。
たとえば、グループ内には商品の製造や開発、卸を担う会社が多数ありますが、ロピアのチーフはグループ会社でもあくまで一取引先として交渉し、売れ筋でないと思えば仕入れなくてもかまいません。
一方でグループ会社の側も、ロピア以外の企業に販売することが可能です。ロピアが小売業として日々研鑽する傍らで、グループ会社も店舗のニーズを聴き取り、売ってもらえる商品を作ろうと努力するのです。
このように、チーフ経営は理念と整合した仕組みとして、グループ全体で機能していると言えます。だからこそ他の企業が一部を切り取って真似しがたい、弊社ならではの特徴となっているのではないでしょうか。
前川 なるほど。店長がトップで、各売り場従業員がその下にいる一般的な組織ではなく、各売り場チーフが独立した事業主感覚で経営をしている。それが「個店主義」「売り場主義」であり、御社の理念を体現する中核的な仕組みなのですね。
明日公開の<現場主義の要となるチーフの育成に注力...ロピアが貫く、理念とビジョンへの共感重視経営【インタビュー】>に続きます。