自由研究に取り組む子どもから問い合わせを受け、味の素(本社:東京都中央区)が「神対応」をした──。ある体験談がXで拡散され、賞賛の声が相次いでいる。投稿者と同社に話を聞いた。
「『やさしお』が冷たく感じる」のはなぜ?
話題となっているのは、Xユーザー「むしゃ 了解紳士(@musyajansson)」さんが2024年8月22日に投稿した体験談。子どもが自由研究の一環で、味の素の商品「やさしお」をなめたところ冷たく感じ、疑問点を同社に直接手紙で問い合わせたという。やさしおとは、塩分(塩化ナトリウム)50パーセントカットが売りの塩だ。
その結果は、「しっかりと返事がありました。ありがとう味の素」と、むしゃさん。あわせて、味の素名義の文書を披露した。下記の説明が記されている。
「『やさしお』が冷たく感じる理由は、原材料の一つである『塩化カリウム』の特性によるものです。『塩化カリウム』は、水に溶ける時にまわりから熱を奪う特性があります。そのため、『やさしお』をそのまま口に入れると唾液に溶けて口の中の熱を奪い、敏感な方は口の中で冷たく感じることがあります」
ほかにも回答文では、「ご参考までに、『キシリトール』という成分が含まれているひんやりするアメやガムなどがあるかと思いますが、それと同じ現象です」「この度の自由研究が、実り多きものとなりますようお祈りしております」などと伝えられた上、問い合わせ時にかかった送料分の切手が同封されていた。
「経営メンバーをはじめ社員一同」で喜び
この投稿は44万件超の「いいね」を集め、「なんて素敵な企業なんだ!切手代も返してくれてるし」「子供の些細な疑問にも丁寧に回答してくれる企業には好感持てる」「子どもさんに分かりやすく、だけど子ども扱いしない言葉選びも素敵」「味の素さんの神対応素晴らしい」と賞賛が相次いでいる。
投稿者・むしゃさんは26日、J-CASTニュースの取材に対し、子どもの反応を「自由研究の穴あきの部分が埋められて完成できると喜んでいました」と振り返った。回答文も資料に使い、自由研究は完成したという。
むしゃさん自身は「個人的には大人でも知らなかった事も分かり、企業姿勢などとても勉強になりました」。なお、親の立場から「子供への教育上できるだけ物理的なもので体験させたかった」と考え、メールなどではなく、手紙で問い合わせることにしたという。便箋の選び方や企業宛の書き方、手紙の出し方まで「一連の行動も勉強になったかと思います」とみている。
一方、味の素・コミュニケーションデザイン部も27日、J-CASTニュースの取材に応じた。グループお客様相談センターが今回の対応を行ったという。
同部を通じてセンター担当者も、「経営メンバーをはじめ社員一同、このような反響をいただけたことを大変喜んでおります。『これからも常にお客さまに寄り添って仕事をすることを大事にしていきましょう』ということを共有しております」と取材に答えた。
「その時々のお客様に寄り添った対応を心掛けております」
センター担当者によると、子どもからの問い合わせは、工場見学時や商品へのファンレターなどを「コンスタントに頂いています」。特に8月は夏休みの自由研究や宿題に関して多く寄せられる。
そして今回に限らず全て、問い合わせ時に客が負担した送料は返しているという。理由は「今後もお客様に気軽にお問合せいただけるように、また、お客様からいただくお声は企業として大変ありがたいため、お客様のご負担がないように」と説明する。
センター担当者は「今回の対応がお子さまや保護者の方に喜んでいただけたことが、なによりも嬉しく思っております」と改めて喜び、このような企業努力を伝えた。
「味の素グループお客様相談センターはお問い合わせ先を広く公開し、お客様にとって相談しやすい・ご意見をお申し出やすい窓口を設けています。お客様からのお問い合わせに対しては、正確・迅速・親切をモットーに企業とお客様の架け橋になることを日々目指しております。
お子さまからのお問合せは自由研究や宿題であることが多いため、お子さまが読まれた際に理解しやすい言葉を用い、また、勉強の励みとなるような一言を添えるなどして、その時々のお客様に寄り添った対応を心掛けております」