2024年9月に控えた自民党総裁選に出馬する意向を正式に表明した河野太郎デジタル相をめぐり、河野氏によるXでの「ブロック」のあり方が改めて注目を集めている。
河野氏は8月26日に開いた立候補者会見でも、記者の質問に答える形で「ブロック」行為への持論を展開。4月に公開したFAQでは、誹謗中傷していない人までブロックする「巻き込みブロック」について「そのような方には申し訳なく思っています」としていたが、今回の記者会見では言及はなかった。
「誹謗中傷する方は、SNSの匿名の壁の後ろで人を傷つけて、面白がっているのか楽しんでいるのか」
以前からXでの発信に注力している河野氏は、現職閣僚としては珍しくブロック機能を多用することで知られ、一部には「ブロック太郎」と揶揄する向きもある。記者会見では、河野氏によるXでの「ブロック」に関する質問が飛んだ。
質問は
「これまでX、ツイッターで一般人をブロックしたりとか(の問題が)指摘されてきた。総理を目指すにあたって、総理の資質としてふさわしいのかどうか? 今後はどう臨むのか?」
という内容だ。河野氏は、現在のSNSに関する問題点を語った。
「ブロックについては、SNSでの誹謗中傷というのが、非常に増えてきてしまった。特に、ツイッターの場合は『X』と名前が変わってから、誹謗中傷、あるいはフェイクニュース、偽情報というものがあまり管理されなくなってきてしまったのではないか、とちょっと残念に思っている」
その上で、「この誹謗中傷がある程度野放しになったことで、『政治家なら誹謗中傷していいんだ』。『芸能人、オリンピック選手なら(誹謗中傷していいんだ)......』といって、誹謗中傷される対象がどんどん広がっている。あるいは一般の方も何かあると、Xの中で誹謗中傷される状況になっている」と、状況はさらにエスカレートしていると指摘。
「誹謗中傷する方は、SNSの匿名の壁の後ろで人を傷つけて、面白がっているのか楽しんでいるのか......。特に責任を問われることもなく、誹謗中傷をしている人、人を傷つけている人が多数いる。私は、これは非常にネットの大きなマイナス面だと思っている」といい、こうした状況について「何らかの形で誹謗中傷を止めなきゃいけない」とした。
「ブロックしたことを批判するというのはおかしい、と声を大にして申し上げたい」
河野氏は、誹謗中傷が頻発するSNSにおいて、ブロックは有効な対抗手段だと主張した。
「ひとつは法的な手段に訴えるということもあるのかもしれない。もうひとつ、簡単にできるのは誹謗中傷する人をブロックするということなんだと思う」
ブロック行為が一部から批判を浴びていることについては、「私が今、懸念しているのは、誹謗中傷する人をブロックしている人に対して、『ブロックするのはけしからん』みたいなことをやると、本来誹謗中傷されている人がブロックしてしまえばその誹謗中傷を見なくて済むのに、今度は『ブロックすると批判されるから』と怖がって、ブロックをしなくなるという......これは大きな問題ではないか」とした。
「誹謗中傷をネットで受け止める必要は全くない。誹謗中傷されたらまずはそこをブロックをおすすめしたいと思っているし、そこでブロックしたことを批判するというのはおかしい、と声を大にして申し上げたい」
「総理大臣がそれでいいのかって話をしてるんだよ」「議員だってブロックしていいだろ笑」
記者会見では、インターネット上での平穏を守るためにはブロックを推奨すると語った河野氏。24年4月に公式サイトとXで公開した「デマや誤情報についてのFAQ」でも、ブロックについての持論をつづっていた。
FAQでは、「誹謗中傷もしていないのにブロックされた」というネットユーザーからの声に対し「そのような方には申し訳なく思っています。もしそのような方がいれば、フォローしているどなたかを通じてでもお知らせいただければ解除いたします」としていた。
以前の投稿では、このような、いわゆる「巻き込みブロック」に対しては申し訳ないとつづっていた河野氏だが、今回の記者会見ではこうした言及はなかった。SNSでは、河野氏の姿勢について厳しい意見も寄せられている。
「この人のブロックは誹謗中傷に対してだけではなくまともな意見に対してにも行われており、『めんどくさい』『都合が悪い』これらの要素が含まれているから問題視されているのです」
「総理大臣がそれでいいのかって話をしてるんだよ、一般人とは違うでしょうに」
一方で、「ブロックという機能がある以上ブロックしてもいいでしょう。機能にないことをしているわけではないのだから」「議員だってブロックしていいだろ笑 人間だもの」など、公人であってもブロックする権利があるとする声もある。