完全復活と言ってよいだろう。
2024年8月25日の中日戦(東京ドーム)に先発登板した菅野智之が7回1/3を5安打8奪三振無失点の快投。自身5連勝でリーグトップの12勝目を挙げた。
勝負どころでは内角にズバっと直球
試合数が少なくなっている中で、首位・広島に突き放されるわけにはいかない。絶対に落とせない試合で、大野雄大との緊迫感あふれる投手戦を制したことは大きな意味がある。
その投球スタイルは老練だ。
ツーシーム、スライダー、カーブ、フォーク、カットボールなど多彩な変化球を低めに集め、凡打の山を築く。決してかわしているわけではなく、勝負どころでは内角にズバっと直球を投げ込む。
5回2死二塁のピンチでは、村松開人をフルカウントから外角低めに落ちるフォークで空振り三振に仕留めた。
我慢強い投球で味方の援護を待つと、7回に坂本勇人が左翼に先制2ラン。エースと中心打者として長年チームを支えてきた2人は強い絆で結ばれている。菅野はベンチで叫んで拳を突き上げ、喜びを爆発させていた。
メジャー挑戦なら今オフがラストチャンス?
昨年は自己ワーストの4勝に終わったが、今年は投手タイトルを総ナメにできる位置につけている。
今オフの去就も気になるところだ。20年オフにポスティング・システムでメジャー挑戦を目指したが、この時はポスティングが成立せずに残留している。
「34歳という年齢を考えると、メジャー挑戦を目指すなら今オフがラストチャンスでしょう。今年の成績で市場価値は上がっているはず。巨人で1年でも長くプレーする可能性の方が高いと思いますが、菅野の決断が注目されますね」(スポーツ紙デスク)
今はシーズンに集中している。目指すのは個人タイトルではなく、4年ぶりのリーグ制覇だ。(中町顕吾)