新入社員にとって、就活&入社は「ファーストキャリア」
J‐CASTニュースBiz編集部は、調査をまとめた『マイナビ転職』編集長の瀧川さおりさんに話を聞いた。
――今の会社で仕事を続けた場合、「5年後に年収が上がっている」と答えた人が4割しかいないことが理解できません。どういうことでしょうか。
瀧川さおりさん 同じ会社で働く先輩方から賞与や昇給、評価システム、生活ぶりの話などを聞いた結果、この企業での年収アップは期待感が持てないと感じているのかもしれません。
また、昨今の世間一般の賃金に対する閉塞感を、ニュースやSNSから敏感に感じ取っている可能性もあります。
――4人に1人が3年以内の退職を希望しているのは、それが大きな理由ですか。
瀧川さおりさん 給料の低さや期待感の持てなさは1つの要素としてあると思います。今回調査でも、「長く働かない理由」を聞くと、3割の人が「給料が低いから」をあげました。
ただし、それ以外にも「いろいろな会社で経験を積んでいきたい」「ライフステージに合わせて働き方を変えたい」といったポジティブな気持ちで退職したい回答も上位に入っています。
今の新入社員には、就活を「ファーストキャリア」と呼び、1つの会社に勤め続けることにはこだわらず、自分の目指すスキル、仕事、フィットする働き方に向け、働く会社を変えていく意識の人が少なくないように見えます。
――なるほど。新卒入社は「ファーストキャリア」ですか。女性のほうが男性より退職意向が高い理由を、「ライフステージ(結婚・出産など)に合わせて働き方を変えたいから」と説明しています。
しかし、結婚・出産を考えるなら、転職の荒波に出るより現在地にいたほうが安心ではないでしょうか。それとも、結婚・出産を機に正社員を辞め、パートなどの非正規雇用を目指すという面もあるのでしょうか。
瀧川さおりさん 最近は育休や時短勤務など、子育てしながらでも働ける制度を充実させている企業が増えています。
なかには、非正規雇用や退職を選択する方もいますが、「母親になっても、キャリアを続けたい」「収入のために働かなくては」と考えるからこそ、正社員として働き続け、ライフステージに合わせた働き方ができそうな会社に移る、という方が多いように思えます。
また、子育て社員への理解や、「制度はあるが、実際に使える雰囲気か?」などの温度感は、企業や働く人によって差があるところです。今の企業でそのまま「結婚・出産・子育てフェーズを迎えても大丈夫」と思える環境であればよいでしょう。
しかし、お子さんがいる先輩社員の働き方や社内での立ち位置などを見て、「この会社で両立するのは難しそう」と感じてしまうケースもあります。そんな場合は、より働きやすい会社に移る選択肢が出るかと思います。