「政府の発信そのものもファクトチェックの対象」
インファクトが8月11日に出した声明では、「健全なファクトチェックの実施に悪影響を与えるのみならず日本の言論空間そのものに禍根を残す内容を含んでいる」と指摘。政府が「ファクトチェック団体」を支援する枠組みができると、それが「官製ファクトチェック」につながりかねないとして
「政府の発信そのものもファクトチェックの対象であり、仮に『官製ファクトチェック』がデジタル空間で『偽誤情報』をファクトチェックしたとしても、それは政府の代弁にしか過ぎず、ファクトチェックではありません」
としている。
今回のとりまとめ案では、ファクトチェックで誤りだとされた情報の削除も検討されていることに触れて、「サラエボ声明の精神とは異なる」とも指摘している。
FIJが8月15日に出した声明では、案がファクトチェックの重要性を指摘している点は「評価できる内容」で、協議会の設置も「必要なこと」だとしている。だが、「『表現の自由』を侵害する懸念」もあるとしている。
例えば「官製ファクトチェック」の問題について
「政府から資金的、あるいは政治的な支援を受けたファクトチェック団体が出現したり、特定の政治的主張を目的とする団体が、国際的な基準を無視して『ファクトチェック団体』を名乗り、政府に批判的な言説を『ファクトチェック』と称して批判したりする事態」
が危惧されるとした上で、
「政府・公的機関などからのファクトチェック組織の独立性確保が必須」
といった事柄の明記が必要だとした。
インファクトが8月12日にオンラインで開いたシンポジウムでも、ファクトチェック機関の独立性について懸念する声が相次いだ。
とりまとめ案は、8月20日までパブリックコメントを募集している。
(J-CASTニュース編集委員 兼 副編集長 工藤博司)