高橋洋一の霞ヶ関ウォッチ 岸田政権、ついに命運尽きる...号砲鳴った自民総裁選の読み解き方

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   2024年8月14日、岸田文雄首相が自民党9月総裁選への不出馬を表明した。前日まで、出馬を検討しているとも見られており、党内外に衝撃が走った。

   今から思うと、岸田政権の末期症状は危機管理に出ていた。8月8日宮崎地震だ。南海トラフ地震への波及が懸念されるのは確かだが、ここは注意情報を出しても、地震への備えを再チェックするだけに留めて、日常生活や既に決めた予定を変更することはないと、総理の口から言っておくべきだった。

   しかし、8月9~12日に予定されていた首相の中央アジア訪問を首相自らが予定変更し、外遊をドタキャンした。

  • 2021年の総裁選でJ-CASTニュースのインタビューに応じた岸田文雄氏。次の総裁選を制するのは誰だ
    2021年の総裁選でJ-CASTニュースのインタビューに応じた岸田文雄氏。次の総裁選を制するのは誰だ
  • 2024年8月15日に開かれた全国戦没者追悼式で式辞を述べる岸田文雄首相。首相としては最後の参列になった
    2024年8月15日に開かれた全国戦没者追悼式で式辞を述べる岸田文雄首相。首相としては最後の参列になった
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「麻生太郎 vs 菅義偉」のキングメーカー対決

   いずれにしても、これで総裁選は事実上始まった。キングメーカーとして、麻生太郎氏と菅義偉氏の争いだろう。手駒としては、菅氏が優勢だ。小石河といわれる石破茂氏、小泉進次郎氏、河野太郎氏は党内外で人気が高いとされている人への影響力がある。

   特に小泉氏は父親の小泉純一郎氏のアドバイスもあり、若すぎて出馬しないと言われたが、ここにきて若さの魅力が復活している。清和会の重鎮も推しているという話もあり、父親譲りに「自民党をぶっ壊す」に匹敵する一発があれば、自民党再生になるかもしれない。その上で、もし小泉氏が出馬するなら、相当なインパクトがあるだろう。

   小石河をどのようにまとめるかで菅氏の力量が問われている。

高市氏はトランプ氏でもハリス氏でも対応できる

   一方、麻生氏は、一時は上川陽子外相が本命と言われたが最近勢いはない。ただし、一部には高市早苗氏が隠し玉だという人もいる。もし、そうなると、国民人気のある高市氏を党内基盤のある麻生氏が担ぐと、前回総裁選において高市氏を安倍氏が担いで旋風を巻き起こした再来になる。

   実は高市氏は、11月の米大統領選の勝者が共和党のトランプ前大統領でも民主党のハリス副大統領でも対応できる稀有な人物だ。トランプ氏であれば保守として政策で波長があうだろうし、ハリス氏でも女性同士、しかも高市氏はかつて米民主党議員のスタッフの経験もあるからだ。

   いずれにしても、安全保障、財政・経済など自民党総裁選でおおいに論戦してもらおう。


++ 高橋洋一プロフィール
高橋洋一(たかはし よういち) 元内閣官房参与、元内閣参事官、現「政策工房」会長 1955年生まれ。80年に大蔵省に入省、2006年からは内閣参事官も務めた。07年、いわゆる「埋蔵金」を指摘し注目された。08年に退官。10年から嘉悦大学教授。20年から内閣官房参与(経済・財政政策担当)。21年に辞職。著書に「さらば財務省!」(講談社)、「国民はこうして騙される」(徳間書店)、「マスコミと官僚の『無知』と『悪意』」(産経新聞出版)など。

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