「生きていること、卓球ができていることは、当たり前じゃないのを感じたい」。パリ五輪の卓球女子団体で銀、シングルスで銅に輝いた早田ひな選手(24)が、会見でこう明かして行きたい場所に挙げた「鹿児島の特攻資料館」に注目が集まっている。
早田選手のいう資料館とは、南九州市内にある「知覧特攻平和会館」を指すとみられている。同会館に取材して、発言への受け止めなどを聞いた。
隊員の遺影や遺書など約6000点が展示
「只今より出撃致します。実に喜び勇んで居ります」。母上、兄上様あてに書かれた遺書は、こんな勇壮な言葉から始まった。
これは、2024年7月19日から知覧特攻平和会館で開かれている企画展で、特攻隊員となった四宮徹少佐の遺書として展示されている。
四宮少佐は、わくわくした小学校時代の遠足を思い出したとして、「決意とか覚悟とか云ふ様な、こだわりは少しもなく、本当に全員、純真無邪気です」と締め括られていた。
「純真無邪気」との表現を使ったことで、その死が一層痛ましく感じてしまうほどだ。
同会館は、飛行機ごと敵艦に体当たりするような悲惨な戦争は2度と起こしてはならないと、南九州市の運営で1987年に開館した。知覧地区は、旧陸軍の飛行場が建設されて特攻基地になり、特攻で戦死した隊員1036人のうち439人がここから出撃したという。
会館内には、隊員の遺影や遺書など約6000点が展示され、語り部による講話なども行われている。
早田選手が13日、帰国会見で行きたい所を聞かれ、「鹿児島の特攻資料館に行きたい」と明かしたことで、知覧特攻平和会館についても関心が高まった。