優勝争いを繰り広げる巨人に大きな痛手だ。
攻守の軸としてチームを引っ張ってきたヘルナンデス
2024年8月11日の中日戦(バンテリン)で、悲劇は起きた。
5回1死の場面。エリエ・ヘルナンデスが木下拓哉の中前に飛んだ打球で、スライディングキャッチを試みた。だが、ボールが入ったグラブの先が人工芝に引っかかり、左手首が逆方向に曲がった。
ヘルナンデスは激痛に顔をゆがめると、倒れたまま立ち上がれず、ナインやコーチが駆け寄った。
球場が騒然とする中でブルーシートに覆われながら、担架に乗せられて負傷交代した。報道によると、名古屋市内の病院で検査を受けた結果、「左手首の骨折」と診断された。
今季中の復帰は絶望的な状態に。攻守の軸としてチームを引っ張ってきただけに、阿部慎之助監督のショックは大きい。3-1で勝利したが試合後に笑顔はなかった。
「浅野の覚醒がチームの命運を握る」
5月下旬に途中加入したヘルナンデスは、救世主と呼ぶにふさわしい活躍でチームに不可欠な選手だった。
広角に安打が打てる上、甘く入ったらスタンドに叩きこむパンチ力もある。6月は月間打率.352、3本塁打、11打点をマーク。
貧打で苦しんでいた打線の中軸で稼働し、得点力アップの原動力になっていた。
スポーツ紙デスクは、
「中堅の守備でも球際の強さを見せ、攻守で高水準のプレーを見せていた。現状でヘルナンデスの代役を務める選手はなかなかいないが、大きな可能性を秘めているのが1軍昇格する高卒2年目の浅野翔吾です。ファームでスイングに鋭さが戻り、状態がいい。スターになる選手は巡ってきたチャンスをきっちりモノにする。松井秀喜、坂本勇人は高卒2年目にレギュラーをつかんでいますしね。浅野の覚醒がチームの命運を握ると言っても大げさではありません」
と分析する。
12日から本拠地・東京ドームで阪神を迎え撃つ。前回は敵地の甲子園で同一カード3連敗を喫した。ヘルナンデス離脱のショックを吹き飛ばすためにも、浅野の奮起に期待したい。(中町顕吾)