男性の育休取得率、3割突破...厚労省調査 だが「ゴロゴロ休暇」「企業間格差が拡大」批判も

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中小企業「育休中も100%有給なんて余裕はない」

   休業期間の過ごし方に課題があるとはいえ、男性の育休長期化は社会にとっても歓迎すべきことだ。

   しかし、都内のベンチャー企業の人事で働く女性Aさんは「結果として大企業とそれ以外の格差が広がりそうですね」と浮かない顔だ。

   男性の育休取得率が急増した背景には、法改正がある。最も大きな影響を与えたのは「育児休業取得状況の公表義務化」だ。

   これは2022年10月施行の改正育児休業法によるもので、従業員が1000人を超える企業の事業主に対し、男性労働者の育児休業等の取得状況を年1回公表するよう義務付けている。このため大手企業は、公表される数字をよりよく見せるために、男性社員の育休取得を促進する体制を積極的に取っている。

   野村不動産グループのように、男性が子どもの出生後8週間以内に最大4週間の育児休業を取得できる「出生時育児休業(産後パパ育休)」における育児休業取得について、100%有給化を実現している企業もある。

   実際、従業員1000人超企業に限れば、男性育休取得率は46.2%と半数近くにおよぶ高い水準になっている。そして2025年4月からは、従業員数300人超の企業にも、男性の育休取得率の公表が義務化される。

   Aさんは、中小企業の実態を踏まえ、こう語る。

「ただでさえ人手が足りない中小企業で、働き盛りの男性が育休で長期離脱するなんて許容できないですよ。『なんちゃって育休』になっても仕方がない。さらに、育休中も100%有給なんて余裕はありません。結局、中小企業は見栄を張るために数字を増やす取り組みなんてできないのが実情です。私たちは、低い数字を開き直って公表するしかありません。本来は負担を企業に押し付けるのではなく、国がベビーシッターの利用を補助するとかの方がいいんじゃないでしょうか」
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