家計にゆとりが出る人、出ない人の格差が広がる?
――フリーコメント欄が、全体的に「生活苦感」にあふれて切ないです。川上さんはどのコメントが印象に残りましたか。また、2021年調査のコメントで心に響いたものがあれば教えてください。
川上敬太郎さん 特に響いたのが、「家計にゆとりがあれば、もう少し子供の習い事や普段経験できないこと(旅行等)をさせてあげたいなと思い、罪悪感を覚えます」という声です。
家計が圧迫され、お子さんにも我慢を強いている状況、そのことをとても歯がゆく感じている状況が伝わってきて、心に突き刺さるつらさを感じました。
一方、2021年調査に「コロナ禍の中、常に感染リスクを気にしながら生活しなければならない」という声がありました。3年前は3年前で、マスクなしでは外出できない、気軽に人と会うこともはばかられる窮屈さに耐え続けてきました。そして、いまは家計がさらに苦しくなっています。
ずっと、何かに耐えなければならない状況が連続するなか、人々は歯を食いしばってがんばり続けていることが改めて感じられます。
――実質賃金がようやくプラスに転じたわけですが、川上さんはズバリ、今後、家計にゆとりが出る人が増えると思いますか。
川上敬太郎さん 春闘の賃上げ率は33年ぶりに5%を超えたと言われますし、最低賃金も過去最大の引き上げ額を更新するなど、賃金上昇の傾向にあるのは間違いないのだと思います。そのため、家計にゆとりが出る人は増える可能性があると思います。
ただ、すべての人に恩恵をもたらすとは限りません。賃上げがない会社に勤めている人もいれば、仕事を失ってしまった人、最低賃金が上がっても扶養枠内に収めるため年収は変わらない人など、個々に異なる事情の方々がいます。一方で物価は上がったままの状態です。
そのため、家計にゆとりが出る人とそうでない人との差が広がってしまう懸念もあるのではないでしょうか。