「人間関係」を理由に退職する人は少ない
J‐CASTニュースBiz編集部は、リポートをまとめたマイナビのキャリアリサーチラボ研究員の朝比奈あかりさんに話を聞いた。
――退職した会社の人と連絡を取っている人が約6割もおり、約3割の人が「戻りたいと思ったことがある」と答えている結果が、とても興味深いです。人間関係が理由でやめた人は意外に少なく、一度働いたところには愛着があるということでしょうか。
朝比奈あかりさん この調査は、前月(今年6月)に転職活動をした人に対して転職したい理由を聞いています。「給与を高くしたい」というのが圧倒的なトップ。次いで「仕事内容を変えたい」「将来性のある会社、業界で働きたい」「スキルアップがしたい」と続いています。
そうした理由に比べ、「人間関係をリセットしたい」と転職活動を行っている人の割合は多くありません。人間関係には不満がないなかで転職を目指す人がけっこう多いため、退職した会社の人と連絡をとっている人も一定数いると考えられます。
――「戻りたいと思ったことがある」人たちの理由を、詳しく教えてください。
朝比奈あかりさん 戻りたい理由を回答してくれた人は333人いました。その人たちが述べた言葉から、その理由を「共起ネットワーク図」で分析したのが【図表3】です。共起ネットワーク図は、最近、マーケティングの世界などでキャンペーン効果を可視化したりする時などに使われています。
テキストやデータの中で特定の単語やフレーズが一緒に現れる頻度やパターンを分析する手法です。出現回数が高い言葉を大きな丸で描き、出現パターンが類似した言葉と太い線で結び、相関関係(共起関係)のネットワークを作ります。
【図表3】の左側を見てください。「良い」という言葉が一番大きな丸となり、その周辺に「会社」「人間」「関係」「職場」「給料」「気づく」「前」などの言葉が強い線で結ばれていることが見てとれます。