パリ五輪・スケートボード競技で、四十住さくら選手(22)は連覇を逃したが、試合後のコメントに感動したとの声がネット上で相次いでいる。
四十住選手は五輪期間中、国際オリンピック委員会(IOC)公認団体から2021年の東京五輪のときのフェアプレー賞も授与されていた。その背景には、選手間の友情を大切にするスポーツマンシップがあるようだ。
パリ五輪で決勝進出を願うも「人の失敗は祈りたくない」
「人の失敗は祈りたくない...」。四十住選手は、24年8月6日の女子パーク予選で、1本目に79.70点をマークし、その後2回は点数が伸び悩んだことをインタビューで聞かれ、こう複雑な思いを口にした。
1組目に出場し、終わった時点で4位となり、その後も強豪選手がスタンバイしていた。上位8人しか決勝に進めないため、連覇に強い意欲を見せていた四十住選手は、インタビューでこう続けた。
「でも、決勝には行きたいので、変な気持ちになっちゃうけど、行けるように祈ります」
こうした発言が報じられると、ネット上では、四十住選手の気遣いに感心する声が相次いだ。
「若いのにいいこと言うなぁ」「中々口にできないよ。めちゃ悔しいはずなのに」「競技者同士へのリスペクトもあって見てて爽やか」
予選が終わると、四十住選手は、10位に終わり、東京五輪に続いての連覇は達成できなかった。それでも、笑顔を絶やさずスケボー仲間たちへの声援を続け、ネット上で驚く声が出ていた。
スケボーといえば、正式種目になった東京五輪での選手交流を思い出す人が多い。
国を越えて選手同士がリスペクトし、大技が決まったら皆で喜び、失敗してもチャレンジしたことを讃え合う――。そのことを象徴するとされたのが、女子パーク決勝で、涙の岡本碧優(みすぐ)選手を各国選手たちが担ぎ上げたシーンだ。
東京五輪で、岡本選手らを激励した決勝メンバーとして受賞
この決勝で、岡本選手は、逆転を狙って最終演技でフリップインディという大技に挑んだ。スピードに乗って高く舞い上がると、会場からどよめきが起こったが、着地に失敗して転倒してしまった。
涙を流しながら戻ってきたが、そんな岡本選手に各国選手が駆け寄り、オーストラリアとアメリカの2選手が岡本選手を担いで肩に乗せる。そのチャレンジこそ金メダルだと言わんばかりの励ましに、岡本選手も笑顔を取り戻していた。
この決勝に、四十住選手や開心那選手(15)も出場し、それぞれ金・銀に輝いた。お互いの健闘を讃え合う姿は同じで、四十住選手は、銅メダルを取った大親友のスカイ・ブラウン選手(16)(イギリス)と抱き合って健闘を讃え合う姿が五輪の日本語公式Xにも投稿されていた。
4位に終わった優勝候補の岡本選手を担ぎ上げて健闘を讃えたこのシーンは、IOC公認団体の国際フェアプレー委員会にも、高く評価され、22年1月に四十住選手ら7人を東京五輪のフェアプレー賞に選んでいる。
開選手が23年6月にこの賞をスイスで授与されたほか、四十住選手は、パリ五輪期間の24年8月に授賞式に臨んだ。2日のインスタグラムへの投稿で、受賞を報告しており、「模範的な行為」だったとして、握手する手をかたどった像も授与されていた。受賞について、「この様な名誉ある賞を頂き、大変光栄に思います。受賞者の名に恥じぬ様、今後もフェアプレー精神を大切に精進してして行きたいと思います」とつづっている。
(J-CASTニュース編集部 野口博之)