「ほどほどの距離感」が一番の秘訣
――「ほどほどの距離感」ですか。いい言葉ですね。具体的には皆さん、どんな生活をしているのですか。
福澤涼子さん 東京都に住む70代男性のAさん。お母さんが亡くなった後、家を壊すのがもったいなくて、趣味のDIYを活かして家を自分で建て直しました。1人暮らしは寂しいし、住まいに困っている人を助けたいという気持ちから、家の空き部屋を貸し始めました。かつては、男性や中高年女性も暮らしていましたが、現在では3人の若い女性と同居しています。
Aさんは1階。女性たちは2階でお風呂、トイレ、台所を共用。玄関に目印になる置物があり、それを使った在宅が否かをお互いに知らせ合う仕組みを取り入れています【下の写真参照】。
家賃は、新宿まで電車で40分ですが、光熱費込みで5万円以下。住人のうち1人は、以前若者だけのシェアハウスに住んだことがあり、若者同士の付き合いに負担を感じることもあったそう。こちらは家主さんがお年寄りだから、生活スタイルが落ち着いてリラックスできると言っていました。
――若い人との暮らしは、どういうものなのでしょう?
福澤涼子さん Aさんは毎日挨拶する人がいるだけで、生活に張りが出ると言っていました。最近もAさんがコロナに感染してしまったそうなのですが、住人たちがゴミ捨てを協力してくれたり、励ましてくれたりしたおかげで助かったと言っていましたよ。
<日本に復活した現代版下宿「異世代ホームシェア」 高齢者と若者が支え合い、双方がwin-winになる秘密は?(2)/第一生命経済研究所・福澤涼子さん>に続きます。
(J‐CASTニュースBiz編集部 福田和郎)
【プロフィール】
福澤 涼子(ふくざわ・りょうこ)
第一生命経済研究所ライフデザイン研究部研究員、慶応義塾大学SFC研究所上席所員
2011年立命館大学産業社会学部卒、インテリジェンス(現・パーソルキャリア)入社、2020年慶応義塾大学大学院政策・メディア研究科修士課程修了、同大学SFC研究所入所、2020年リアルミー入社、2022年第一生命経済研究所入社。
研究分野:育児、家族、住まい(特にシェアハウス)、ワーキングマザーの雇用。最近の研究テーマは、シェアハウスでの育児、ママ友・パパ友などの育児ネットワークなど。5歳の娘の母として子育てと仕事に奮闘中。