中国国内で放送されたパリ五輪卓球女子シングルス決勝のテレビ解説を巡り、コメンテーターの発言に偏りがあるとして中国で物議をかもしている。中国メディア「捜狐」(ウェブ版)が2024年8月5日に報じた。
「ファンの言動は理解できるが...」
同決勝は8月3日に行われ、ともに中国代表の世界ランキング1位・孫穎莎と、21年東京五輪金の陳夢が対戦。試合は陳が孫をゲームカウント4-2で破り、2大会連続で金メダルを獲得した。
捜狐の記事によると、中国公共放送局「CCTV」が決勝戦を生中継し、番組で解説を務めた女性コメンテーターの発言が「偏見」解説とし、インターネット上で物議をかもしているという。
中国代表同士による決勝をめぐり、インターネット上では、今大会圧倒的な強さを見せる孫を支持する声が多くみられたという。孫と陳はチームメイトにして最大のライバルで、両者の過去の対戦成績は孫が優位だったということも、ひとつの要因だったという。
記事では「ファンの言動は理解できるが」と前置きし、女性コメンテーターの「偏見解説」を疑問視した。
女性コメンテーターは、孫に寄った発言が目立った。孫が好プレーしたときは非常に興奮した様子で発言し、これに対して陳がよいボールを打ち返しても、平然としているか、沈黙しているようにさえ見えたという。
「彼女の偏った言動が処分されるかどうかは未知数」
記事によると、多くのファンがCCTVはこの件に適切に対処すべきだと考えているという。
過去にはサッカーワールドカップ(W杯)の中継において、CCTVの解説者が「偏見解説」で処分を受けたという。
06年ドイツ大会で、中国で著名なサッカー解説者・黄建祥氏が、イタリアがPKを獲得した際に興奮しすぎたとして「追放」されたという。
このような背景を踏まえ、記事では「今回の女性コメンテーターの言動は、中国人選手同士の対戦ということもあり、より深刻なものと思われる。ただし、彼女の偏った言動が処分されるかどうかは未知数である」とした。
処分が未知数であるとした理由として、「CCTVでは卓球解説者が不足しているため、一時的に解説者を代えることは難しい」と解説した。
女子シングルス銀メダルに終わった孫は、今大会で圧倒的な強さを見せ、準決勝では日本のエース、早田ひな(24)を寄せ付けずゲームカウント4-0で下した。