次々にメダルを決めたパリ五輪・フェンシング競技での日本の快挙は、多くのの国民に感動と勇気を与えた。
その輝かしい姿を効果的に演出したのが、会場となった仏芸術の殿堂「グラン・パレ」だった。天井を覆った白い布が日本製と伝えられ、その「匠の仕事」に関心が集まっている。
ガラス張りのため、太陽の光でまぶしくて試合ができなくなる懸念
男子フルーレが金、男子エペが銀、女子フルーレと女子サーブルが銅――日本は、団体では出場全種目でメダルを獲得し、個人では男子エペの加納虹輝選手(26)が同種目初の金メダルを手にした。
終わってみれば、メダル5個の大躍進で、競技発祥国の一つとされるフランスで日本フェンシングが大きな注目を集めた。
その輝かしい舞台となったのが、1900年のパリ万博のために建てられた壮麗なグラン・パレだ。
グラン・パレは、6000トン以上の鉄骨で支えられた巨大な円形のガラス屋根がパリのランドマークになっている。エッフェル塔全体よりも多くの鋼材を使用しているという。
ところが、ガラス張りのため、太陽の光でまぶしくて試合ができなくなる懸念があった。そこで、五輪では、白い布を張り巡らせて天井を覆い、木漏れ日のような柔らかい光が当たるように調光した。
08年北京五輪・男子フルーレ個人銀でIOC委員の太田雄貴さん(38)は2024年7月29日、パリ五輪をX上でリポートする中で、この布について取り上げた。
「オリンピック裏話」として、布張りを実施したのがテント構造物最大手の太陽工業(大阪市)だとして、こう紹介した。
「デザイン性と機能性が求められる中で抜群のセンス。日本の魂がパリにもありました」
光が天井から柔らかに降り注ぐ荘厳な光景は、選手らからも「美しい」とため息が漏れたと報じられている。太田さんが会場全体の写真を投稿すると、X上でも感嘆する声が上がった。