パリ五輪ボクシング女子66キロ級での試合を発端に「性別問題」が勃発し、波紋を広げた。これを受け、XY染色体を持つとされるアルジェリア代表・イマネ・ケリフ選手に敗北したイタリア代表のアンジェラ・カリニ選手への募金活動が始まった。米下院議員のローレン・ボーベルト氏がXで募った。
食い違う国際ボクシング協会(IBA)とIOCの見解
カリニ選手は、2024年8月1日に行われたケリフ選手との試合で、ケリフ選手の強い攻撃に耐えきれず棄権を申し出た。試合はわずか46秒で終了し、試合後、カリニ選手は泣き崩れた。
国際ボクシング協会(IBA)は1日、ケリフ選手と女子57キロ級に出場している台湾代表のリン・ユーティン選手について、22年と23年の世界選手権で実施された検査の結果、必要な出場資格基準を満たさなかったと発表し、「アスリートの安全と健康を第一に考え、男女間のボクシング試合を決して支持しません」と声明を発表した。
複数メディアによると、イタリアのメローニ首相も「対等な試合ではなかった。男性の遺伝的特徴を持つ選手が女子種目に参加すべきではない」などと言及しているという。
一方、国際オリンピック委員会(IOC)は2日、「すべての人は差別なくスポーツをする権利を持っています」と声明を発表。「選手の性別と年齢はパスポートに基づいている」と説明している。
カリニ選手への募金開始、IBAも賞金授与の方針
ボーベルト氏は2日にXで、カリニ選手について「もっと評価されるべきだ」と投稿。「アンジェラが金メダルを獲得した場合に支払われる金額と同じ額を集めることを目標」としてクラウドファンディングのページを紹介し、「ぜひご協力をご検討ください」と呼びかけた。
クラウドファンディングのページでは、イタリアでは五輪で選手が金メダルを1つ獲得すると19万6000ドル(約2800万円)が支払われるとして、同額の目標金額を設定している。「IOCだけがこの誤りを正すことができる唯一の組織ですが、私たちにもできることはあると思います。寄付されたお金はすべてアンジェラ・カリニに直接送られます」との説明されている。
この募金には賛否の声が寄せられたが、ボーベルト氏は募金開始から24時間足らずで5万5000 ドル以上集まったと報告している。5日夕時点では目標金額の3分の1以上、6万6948ドルが集まっている。
また、IBAは2日、IBAが五輪金メダリストに与える賞金と同等の額をカリニ選手に授与すると発表。これに加えて、ユーティン選手と対戦し敗北したウズベキスタン代表のシトラ・トゥルディベコワ選手を支援するとも発表している。
We’ve had this GiveSendGo up for less than 24 hours and we’ve raised over $55,000!
— Lauren Boebert (@laurenboebert) August 2, 2024
Thank you so much for your support! We’ve got more to go - every dollar will go to Angela, let’s hit our goal!
The people are FED UP with men in women’s sports. I sure hope Kamala Harris is… https://t.co/S1f0IcdXrV