パリ五輪柔道男子60キロ級で波紋を広げた「誤審疑惑」の一戦をめぐり、スペイン代表のフランシスコ・ガルリゴス選手が2024年7月29日夜、インスタグラムで「私は相手を傷つけたいと思ったことは一度もありません」などとコメントを発表した。
敗れた永山竜樹選手もガルリゴス選手とのツーショットを投稿している。
永山選手が呼びかけ「ガリゴス選手への誹謗中傷などは控えて」
問題となったのは、ガルリゴス選手が主審から「待て」がかかった後も約6秒間にわたり寝技をかけ続けた場面だ。永山選手は失神状態で、一本を取られ負けとなった。永山選手はガルリゴス選手との試合後の握手を拒否。畳に残り抗議の意思を示した。鈴木桂治監督らも抗議したが、判定は覆らなかった。
この判断を下した審判団や「待て」に従わず締め続けたガルリゴス選手に、SNSでは批判が殺到。ガルリゴス選手のインスタグラムには多くの非難や誹謗中傷が書き込まれた。一方、スペインのスポーツ紙「アス」は、スペインのコーチが永山選手のあいさつ拒否の態度を批判していることを報じた。そのほか、スペインメディア「エル・デスマルケ」(ウェブ版)やブラジル日刊紙「Estadao」(ウェブ版)も、永山選手の態度に批判的な論調で報じた。
永山選手は29日にXとインスタグラムにコメントを投稿。「準々決勝に関しては、お互い必死に戦った結果なので、ガリゴス選手への誹謗中傷などは控えて頂きたいです」と呼びかけた。審判についても、「判断の難しい状況だったと思います」とする。さらに自身の行動について「敗戦後に抗議をして握手に応じれなかったことは申し訳なく思っています」と反省を述べた。
「柔道の価値観に反することはしたくありません」
その後、永山選手はXとインスタグラムに、「ガリゴス選手が会いに来てくれました!」とツーショットを投稿。インスタでは、共同投稿者にガルリゴス選手が設定されていた。
永山選手は「彼から謝罪の言葉がありましたが」と明かしつつ、「彼にとっても不本意な結果だったと思います」とおもんぱかった。続けて「オリンピックの舞台で彼と全力で戦えた事を幸せに思います!誰がなんと言おうと私たちは柔道ファミリーです!」と宣言した。
ガルリゴス選手も29日、インスタのストーリーズに、永山選手との試合を終えての自身の考えを投稿。主審の「待て」後も技を続けたことについて、「試合中は集中しようと努めているのに加えて、シャン・ド・マルス・アリーナの雰囲気は審判(の声)を聞くのが難しくなるのです」と説明した。
「私は相手を傷つけたいと思ったことは一度もありませんし、ましてや柔道の価値観に反することはしたくありません」と弁明した。
さらにガルリゴス選手は永山選手がコメントをつづった投稿を引用し、手を合わせる絵文字を添えている。