セーヌ川から登場する選手団の入場やさまざまなパフォーマンスに大いに沸いたパリ五輪の開会式。無事に五輪開幕を迎えたその裏には、ボランティアの活躍があった。
開会式でボランティアはどのような役割を果たしたのか。彼らにとって五輪での活動はどのような経験になったのか。J-CASTニュースは、開会式で選手団の下船誘導のボランティアを務め、先頭で入場したギリシャ選手団の下船に立ち会った日本人Xユーザーに話を聞いた。
東京五輪では大会専用車のドライバーを担当
Xユーザー・楽士さん(@melodishkun)は、21年の東京五輪でもボランティアとして活動したという。仕事で海外経験を重ね、「日本人というものが海外ではあまり理解されていない」と感じていた楽士さんは、「海外の人に日本人のホスピタリティの素晴らしさを知ってもらおう」と東京五輪のボランティアに応募。職場でも、何年も前から長期休暇が取れるように工夫した。
東京五輪では大会専用車のドライバーを務め、「大変意義深いボランティア活動」だったと振り返るが、新型コロナウイルスの影響で、無観客だったことが心残りだった。「友人が背中を押してくれたこともあり、もう一度パリで、今度は多くの観客が来場する中でボランティアを!との思いが強くなり応募させて頂きました」と2大会連続でボランティアを務めた理由を説明した。
パリ五輪では、開会式での下船誘導のほか、8月1日からゴルフ競技でのプレス(報道対応)業務も行うという。
開会式では「日本選手団のお迎えはできませんでしたが、第1船のギリシャ選手団をお迎えすることができて光栄でした」と振り返る。
チームでお迎えの準備「ようこそはギリシャ語で何て言うの?」
楽士さんはJ-CASTニュースに、開会式のボランティアの詳細を語ってくれた。楽士さんら選手下船誘導班は、船から降りた選手たちを、目的地別に分かれたバスまで誘導することが役割だったという。
現地時間26日17時、選手下船誘導班のボランティアが現地に集合。荷物検査の後にチェックイン(受付)し、チームごとに誘導ルートや持ち場の確認をした。下船エリアは川の両岸に計8か所あり、楽士さんのグループは4隻のボートの誘導を担当することになったという。
その後はいったん休憩。下船エリアにはカフェがあり、コーヒーや水、お菓子が無料で飲食できた。
パレード開始の30分前、19時。ボートのそれぞれの到着時刻の連絡が入った。どの国の選手団を迎えることになるのかは「最後まで一切知らされませんでした」という。
しかし入場の先頭は、五輪発祥の国・ギリシャとなるのが恒例のため予想がついた。「チームのみんなで『ようこそはギリシャ語で何て言うの?』『夜だからカリメヴェーラだよ』などお迎えの準備」をしたと明かす。この頃から、雨脚が強くなってきた。
フランス人ボランティアは「大変アクティブかつフレンドリー」
ギリシャの選手団を乗せた船が定刻で到着。ボランティアの人たちは「選手や代表団の人々が続々と降りて来るので大声でバス乗り場へ案内」した。続けて韓国、イランとインドネシア、最後にシンガポールの船を迎えた。
「それぞれの国の言葉で声をかけると、にこっと微笑んで下さるのが印象的でした」
といい、進行についても
「組織委の職員さんが着実に指示を出して下さったおかげで一切混乱もなく、選手団の方たちも協力的で、悪天候にも関わらず全てが順調に運びました」
と振り返った。
ボランティア同士も交流があったようで、「フランス語だけの人、英語も話す人もいましたが、皆さんアクティブで親切な方ばかり。良いコミュニケーションが取れて本当に楽しいひとときでした」と明かす。
東京五輪でのボランティアとの違いについては、
「フランス人のボランティアは大変アクティブかつフレンドリーです。疑問点は積極的にどんどん質問します。日本人には(誰か質問してくれないかな?)と他人に期待する人もいますが、フランスではむしろ質問しないと『あなた大丈夫?』と心配されるぐらいです」
と語った。