パリ五輪柔道男子60キロ級で起きた「不可解判定」をめぐる永山竜樹(28)の一連の行為が、世界的に波紋を広げている。
不可解な判定があったのは、2024年7月27日に行われた60キロ級の準々決勝だ。
「ガルリゴスに無礼なジェスチャーをした」
永山はフランシスコ・ガルリゴス(スペイン)と対戦した。問題視されているのは、永山がガルリゴスに絞められたシーン。主審が「待て」を宣告するも、ガルリゴスは永山をその後6秒間絞め続けた。
結果、永山は失神し、技が決まったとみなされ「片手締めで」一本負けを喫した。
結果に納得のいかない様子の永山は、試合後、ガルリゴスとの握手を拒否し、約3分間畳を下りずに抗議の意思を示した。
鈴木桂治監督をはじめとする日本選手団側も激しく抗議。しかし、判定は覆らなかった。
スポーツ紙などの報道によると、全日本柔道連盟の金野潤強化委員長は今回の判定について、国際柔道連盟に文書での抗議を行ったという。
主審の「待て」の指示に従わずに永山を絞め続け失神されたガルリゴスに対し、SNSで批判が殺到。ガルリゴスのインスタグラムには、日本語や英語、スペイン語などで、「スポーツマンシップ」を欠く姿勢に多くの非難コメントが寄せられた。
「不可解判定」で勝利したガルリゴスに対して批判の声が上がる一方で、試合後に握手を拒否し、判定に不服の意を表した永山の「スポーツマンシップ」を問う意見が、複数の海外メディアにみられた。
ガルリゴスの地元スペインメディア「エル・デスマルケ」(ウェブ版)は、「準々決勝の永山戦は接戦となり、主審がガルリゴスの一本勝ちを支持した。
しかし、永山はガルリゴスの勝利を不服とし、ガルリゴスに無礼なジェスチャーをした。この柔道家は勝利の後、ガルリゴスと握手することを望まず、哀れな姿を見せた」と批判的な論調で報じた。
「スポーツマンシップに反するとして失格にすべきだ」
米スポーツメディア「エッセンシャリースポーツ」(ウェブ版)は、握手を拒否した永山の行為に言及し、インターネット上の柔道コミュニティーで永山が批判されていることを伝えた。
記事では「ファンは些細なことでも気にするもので、永山が握手を拒否したことで、何人かが激怒した」とし、ファンの怒りの声を紹介した。
「皮肉なことに、スペイン人は日本で生まれた格闘技のライバルに1000倍敬意を払っていた」「日本人はスポーツにおける価値観と敬意を思い起こすべきだ」「日本人はなんて性格が悪いんだろう。負けず嫌いで、ライバルとレフェリーを侮蔑している...スポーツマンシップに反するとして失格にすべきだ」
そして、「柔道は実践的な格闘技でありながら、相手を思いやることで発展してきた」と解説し、続けて永山の「非礼」に言及した。
「柔道でお辞儀をするというシンプルな行為は、敬意を表すものである。永山は対戦相手と握手もせず、お辞儀もしなかった。多くの人が、世界選手権で2度銅メダルを獲得した柔道家にシンプルな行為を期待していた」
ブラジル日刊紙『Estadao』(ウェブ版)も、永山の試合後の行為に焦点を当てた。
記事では「永山は判定に同意せず、マットの上で3分近く過ごして再検討を求めた」とし、「永山は、パリオリンピック柔道60キロ級準々決勝で敗退した後、スポーツマンシップを捨て、スペイン人のフランシスコ・ガルリゴス選手との握手を拒否した」と批判的に論じた。
60キロ級で起こった「不可解判定」は世界的に波紋を広げている。ガルリゴスのSNSに批判が殺到するなど、いまだ収拾がつかない状況にある。