順調に進んだ出店準備...そしていよいよ当日
新店舗のビジョンは、A君のアイデアをたたき台にした改良案にて決定。
メンバーは、大きくキッチン担当とホール担当に分かれて、大車輪で開店準備に取り掛かりました。
キッチン担当メンバーは、地産地消の目玉メニューをいくつか作ろうと、地元の農家や市場を回り、仕入れ食材探しと調理研究に余念がありません。
ホール担当メンバーは、店内装飾に工夫を凝らし、観葉植物やプランターをいくつも飾り、アジアリゾートテイストの木材家具を効果的に配置するなど、落ち着きがありながらハイセンスな店内デザインに仕上げました。
A君はというと...。
ホール担当者数人からなる「マーケティング・広報チーム」のリーダーも兼務。近隣エリアの顧客層調査とニーズ分析を行い、メンバー全員で共有。次いで、開店記念キャンペーンの企画や、メニューと広報チラシの作成にと力を注ぎました。
さらに、新聞への折り込み手配、近隣へのポスティング、さらにオリジナルSNSを立ち上げるなど、大活躍でした。
こうして迎えた新店舗オープンの初日に待っていたのは...。
なんと、11時の開店前から店頭に人の列ができ始め、午後のランチタイム終了予定時間まで行列が尽きないほどの大繁盛!
ディナータイムも事前予約で満席、2週間先まで予約で埋まるほどの好スタートを切ったのでした。
その日、閉店後に行った同店内でのメンバーの軽い打ち上げも、おおいに盛り上がりました。
Mさんは、初めてこのチームに着任した時のことを思い出していました。下を向いていた皆が一つになることで、短期間でこれだけの仕事をやり遂げたことに、感無量でした。
すると、打ち上げ解散間際にA君がやってきました。
「今日までおつかれさまでした。いろいろと、ありがとうございました。仕事がこんなに面白いものだなんて、今まで思ってもみませんでした。また明日からも頑張ります。よろしくお願いします!」
Mさんは、「本当に、おつかれさま!」と一言声をかけ、A君と握手をするのが精いっぱい。涙腺が緩むのを堪えながら、頼もしくなったA君の後ろ姿を見送るばかりでした。