上司の言葉がけひとつで、モチベーションが高まった経験はありませんか?
実際のエピソードや感動的なエピソードを取り上げ、人材育成支援企業FeelWorks代表の前川孝雄さんが「上司力」を発揮するヒントを解説していきます。
今回は、切望したプロジェクト・メンバーに抜擢されたものの、思わぬ事態に遭遇した若手リーダーの奮闘エピソードです。
若い世代や幅広い客層にも受けるキャッチーなビジョンを!
このエピソードは<「そんなビジョンはダサい」 気持ちをひとつにしようと奮闘も...メンバーからの「ダメ出し」で窮地に>の続きです。
Mさんがメンバーに提案した、新店舗ビジョンのたたき台は
『美味しさと笑顔とおもてなしで、地域の元気と絆を育てる店』
というものでした。
これに対し、「そんなビジョン、ダサくてダメでしょ!」と真っ向から否定したA君。
周りのメンバーが固唾を飲んで見守るなか、Mさんは一瞬言葉を失いましたが、気を取り直して言いました。
「これはたたき台だよ。僕が決めるのではなく、皆で話し合って納得いく言葉にできればいいと思っているんだ...」(Mさん)
するとA君は、少し緊張した面持ちながら、次のように語り始めまたのです。
「Mさんの案、意味はわかりますよ。皆の意見もだいたい反映していますし...。でも、かたいんですよ。特に若い世代や、他のエリアから来る幅広い人に受けるには。これからはインバウンドも大事だから、外国人客にも伝わるくらいキャッチーなのにしないと。たとえば『美食shop Wakuwaku-Hughagu』とか『Omotenashiの店 Commons House』とか...」
すると...皆、少し驚きながらも、安堵した様子で口々に語り出しました。
「Aって、意外とキャッチコピーのセンスあるんだな!」
「確かに...自分たちの思いを込めながらも、お客さん目線も大事だよな...。」
「それにしても、Aの案だって少し古くないか~(笑)」
「でも、今は昭和レトロブームだから、ちょうどいいかも!」
Mさんは、皆の和気あいあいとなったやり取りに、胸を撫でおろしました。
「(A君も、ちゃんと考えてくれていたんだな...)」
この時を境に、A君も皆と一緒の輪に入れるようになったのです。