次第に皆からアイデアが出始めるなか、押し黙った気になるメンバーが...
「やっぱり飲食は味が勝負だから...仕入れと味付けが大事だ。客層とニーズをもう少しよく調べて、好まれる食材や味を研究したほうがいいよ」
「美味しさだけじゃなく、元気になるメニューと活気ある雰囲気を売りにしたらどうだろう」
「地元地域のお客さんに親しまれる店、居心地がいい店がいいんじゃないか」
「常連さんばかりでなく、初めてのお客さんも気楽には入れてくつろげる、オープンな雰囲気も必要だよ...」
皆から出てくる意見は断片的ではありましたが、少しずつ積極的になり、イメージも膨らんできました。
「なかなかいいアイデアが出てきたね。今は、お互いに遠慮なく思ったことを出し合って、その後に皆で整理しよう! できるだけ一人ひとりの意見をうまく取り入れられるように、工夫していこう」(Mさん)
Mさんは、皆が前向きになってきたことに、手応えを感じていました。
Mさんは、皆から出た意見を書き出したメモを毎日更新しては、全員に配布しました。意見メモをもとにしたミーティングでの話し合いも、盛り上がりを見せるようになりました。
ただ、そうした中でも、一人だけほとんど口を開かず、皆の意見をただ黙って聞いている、気になるメンバーがいました。
初日の面談で、「前の職場でも評価されず、期待もされていない」と語ったA君です。
その後、他のメンバーと口論になりMさんが止めに入り、話を聞こうした時も、「言われたことはやりますから、僕のことはほっといてください」と切り捨てるように言っていたのです。
「(もう少ししたら、もう一度ゆっくりと話をしてみよう。少しは気持ちも変化しているかもしれないし...)」(Mさん)